日本政府は6月26日、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局に対し、パリ協定達成に向けての「長期戦略」を提出した。パリ協定は、全加盟国に対し、長期戦略の提出を求めており、日本は12カ国目。G7諸国では、カナダ、ドイツ、米国、フランス、英国に次いで6カ国目。
日本政府は、6月11日に閣議決定した「パリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略」等に基づき、提出した長期戦略文書を作成したことが伺える。長期ビジョンについては、2050年までに二酸化炭素排出量を80%削減すると宣言し、環境と経済成長を両立させるためのイノベーションを大きく掲げた。イノベーションの分野としては、水素、炭素回収・貯蔵(CCS)、炭素回収・利用(CCU)、再生可能エネルギー、バッテリー、原子力発電を挙げた。
分野別では、抵効率の石炭火力発電所を可能な限り段階的に廃止し、石炭火力発電への依存度を減らすと明記。ガス火力発電に注力していく姿勢を示した。しかしそれ以上に火力発電全般では、CCSとCCUによって炭素を回収していく戦略を大きく取り上げた。原子力発電については、「原子力規制委員会が厳格な国際基準に則って安全性を確認したことを尊重する」ことを理由とし、再稼働を図っていくことを強調した。
輸送分野では、2050年までに車1台当たり二酸化炭素排出量を2010年比80%削減するという目標を掲げた。海運では、国際海事機関(IMO)制定した2050年までの二酸化炭素ネット排出量を踏襲。国内線航空分野でも、国際民間航空機関(ICAO)が制定した2020年以降の二酸化炭素排出量増加ゼロを再掲した。
【参考】【日本】政府、パリ協定長期戦略を閣議決定。経産省と文科省はCO2削減技術の課題分析報告書発表(2019年6月12日)
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