英独立行政機関「気候変動委員会(CCC)」は7月10日、英国での気候変動緩和と気候変動適応に関する2つの政策報告書を英国議会に提出した。CCCは毎年、英国議会に進捗報告書を提出している。英国政府は6月27日、2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにすることを法制化。CCCはそれを受け、気候変動緩和と適応に真剣になる必要があると指摘した。
【参考】【イギリス】国会、2050年までのCO2排出ゼロ法案を可決。法制化したのはG7で初(2019年7月2日)
【参考】【イギリス】政府・気候変動委、2050年までのCO2ネット排出ゼロを提言。法整備要請(2019年5月11日)
CCCは、CCCが提言した25の喫緊の気候変動緩和政策のうち、過去1年間で1つしか実現しなかったと苦言。さらに気候変動適応政策では、CCCが提言した33の主要政策のうち一つも実現していないと厳しく言及した。
今回の報告書では、早急なアクションが必要な分野として、まず、中央政府の各官庁が範を示すため二酸化炭素ネット排出量削減を策定すべきと提言。さらに企業や投資家の予見性を高めるため、わかりやすい制度導入を求めた。また、市民に削減努力をさせるための制度導入も必要と指摘。さらに、英国政府が各国に2050年ネットゼロ目標を導入させるよう国際的なリーダーシップを発揮すべきとした。
気候変動適応については、農業に気候変動適応を促すインセンティブを付与すること、家庭、病院、養護施設での猛暑からの市民保護、企業の気候変動財務リスク開示、市民の水消費量を日量140lから100lに削減、環境庁による洪水対策戦略の導入等を盛り込んだ。
【参照ページ】UK credibility on climate change rests on Government action over next 18 months
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