国際NGOオックスファム・インターナショナルは10月10日、英小売大手のサプライチェーン上にあるインドとブラジルの茶葉・果実農園で働く労働者からのインタビューを通じ、労働者が労働搾取されていると発表した。分析対象とされた16社のうち、テスコ、セインズベリー、モリソンズ、クローガー、アルディ・ノース、アルディ・サウス、アルバートソンズ、REWE、ホールフーズ・マーケットの9社は10月22日までに、国際人権NGOビジネスと人権リソースセンター(BHRRC)からの質問書に回答した。
オックスファムの調査によると、アッサム地方の茶葉農園50ヶ所で労働者インタビューを実施したところ、衛生的なトイレや飲料水へのアクセスが不足しているため、コレラや腸チフスが流行していることがわかった。また、労働者の半数は、インド州政府が発行する食糧供給支援制度の受給者資格カード「Ration Card」の発行を受給して生活していることもわかった。発行理由は低所得。女性労働者は、毎日13時間の過酷な農作業に従事しながら、非常に少ない給与しか得ていなかった。
またブラジル北東部で実施した果実農園での労働者インタビューでは、子供のいる女性から、食糧を親戚や政府援助に依存しているという証言もあった。また、ぶどう、メロン、マンゴー等の農園柄、農薬による皮膚病やアレルギーにも悩まされているという声もあった。
オックスファムは別途、フィリピン、エクアドル、コスタリカ、ペルー、米国でも労働者500人にインタビューを実施し、農場での労働搾取を発見。労働者の約4分の3が、食住に最低限必要な所得も得られていないという。労災による治療も受けられれず、トイレや飲料水にも困っているという声も出た。
今回回答した企業からは、今後詳細調査やオックスファムとの対話に乗り出す意向や、レインフォレスト・アライアンス(RA)認証やフェアトレード認証、オーガニック認証等を取得していること、分析対象となった農園からは茶葉調達有無を確認したこと等を回答し、前向きに対処する姿勢を見せた。一方、ホールフーズ・マーケットは、現状誤認しているとオックスファムを批判した。
一方、ウォルマート、コストコ、リドル等は回答しなかった。
オックスファムは、小売大手に対し、人権観点からのサプライチェーン開始を続けている。
【参考】【英国】人権や貧困問題に、大手スーパーマーケットは過去1年どのように取り組んできたか(2019年7月8日)
【参照ページ】Poverty pay and abuse of workers on farms and plantations linked to UK supermarkets
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