金融世界大手仏BNPパリバは11月22日、石炭火力発電に関係する一切のファイナンスをEU域内では2030年までに、世界全体でも2040年までに停止すると発表した。同社は2017年から石炭火力発電新設プロジェクトへの投融資を禁止しているが、融資残高にまで適用するダイベストメント期限を設定した大手銀行は同社が世界初。
BNPパリバは、今回の決定は、国際エネルギー機関(IEA)の「持続可能な開発シナリオ(SDS)」に準じたものと説明。2040年までに世界全体の発電関連の二酸化炭素排出量を2014年比85%削減していくとした。同社は2016年から、各電源へのファイナンス状況を公表する取組も開始しており、今回それを実施し続けることをあらためて名言した。BNPパリバは、銀行世界大手の中では、早くから石炭ダイベストメントに着手した銀行。現時点で、世界の石炭火力発電割合は38%のところ、BNPパリバの融資先電力会社の合計石炭割合は20%を下回っている。
【参考】【フランス】BNPパリバ、シェールオイル、シェールガス、オイルサンドへの融資を禁止(2017年10月23日)
今回の決定は、石炭火力発電を行っている既存の融資先電力会社への融資継続期限を設定したもの。そのため、同社は融資先企業へのエンゲージメントを強化し、石炭火力発電の停止計画策定を促していく。さらに、石炭火力発電の新設を計画する発電会社とは「関係を切る」とまで踏み込んだ宣言を行った。
また、脱石炭を進める替わりに、再生可能エネルギーへのファイナンスを加速する。同社は2015年、2020年までに再生可能エネルギー分野へのファイナンス学を2倍の150億ユーロにまで伸長させることを定めたが、2018年年末時点ですでに154億ユーロに到達。そのため今回、2021年までに180億ユーロと目標を引き上げた。
石炭ダイベストメントに関しては、環境NGOからも要求の声が強まっているが、既存の持分を容易に売却が可能な投資とは異なり、契約に基づいて実施する融資は、新規の融資を禁止することはできても、既存の融資分を撤収することは根本的に難しい。今回のBNPパリバのように、期限を設けて既設発電所の停止を促す手法は、先進的な取り組みと言える。
[2019年11月27日訂正]
文中の金額を訂正した。
【参照ページ】BNP Paribas announces a timeframe for a complete coal exit and raises its financing targets for renewable energies
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