世界経済フォーラム(WEF)は1月19日、監査法人世界大手PwCと協働で、ビジネスの森林依存度と影響をまとめた報告書「The New Nature Economy Report」を発表した。163セクターとそのサプライチェーンを分析。受粉、水質、疾病管理等の生態系サービスに「中程度」または「非常に」依存する企業は、従来の想定以上に多いとした。経済規模にして44兆米ドル、世界GDPの約半分が、自然破壊により大きな影響を受けるという。
セクター別では、森林や海洋資源を利用する建設(4兆米ドル)、農業(2.5兆米ドル)、食品・飲料(1.4兆米ドル)の3業界が最も自然依存度が高い。「非常に」依存しているとされる業界で創出されるGDPは、全体の15%を占め、「中程度」依存する業界は37%を占める。
自然依存度が非常に高い企業の創出したGDPは、地域別に見ると、中国(2.7兆米ドル)、EU(2.4兆米ドル)、米国(2.1兆米ドル)。同地域には、自然破壊エクスポージャーの高い地域が比較的少ないが、それでも有事には大きな経済的影響があることが明らかになった。
また、同報告書では、多くの大企業が気候変動リスクの測定・管理のためTCFDフレークワークを採用している点にも言及。同フレームワークだけでなく、既存のERM(統合型リスク管理)やESGプロセス、投資判断、財務・非財務報告に、自然リスクマネジメントを組み込むことの必要性を訴えた。透明性や説明責任が強く求められる現在のトレンドを無視する企業は、今後置き去りにされ、新たな機会を掴むことができなくなると警鐘を鳴らした。
【参照ページ】Half of World’s GDP Moderately or Highly Dependent on Nature, Says New Report
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