スイス環境コンサルティングQuantisとスイスのエコデザインセンターEAは2月27日、世界初となる、企業のバリューチェーン上の「プラスチック漏出」の測定・予測メソドロジーをまとめたガイドラインを発表した。プラスチック漏出とは、適切に管理されず、環境に負荷を与える可能性のあるプラスチックのこと。
同ガイドラインは、バリューチェーン上のプラスチックやマイクロプラスチックの漏出量を測定し、報告するための標準的な手法を整理。測定は企業単位でも製品単位でも可能なものになっている。また最新のライフサイクルアセスメント・アプローチに基づき、プラスチック漏出の原因と経路、漏出量を特定。従来、信頼に足るデータやメソドロジーがなく憶測で対応してきた企業に対し、統計的な手法で対策を講じることができるようにする。
同ガイドラインのユーザーは、サステナビリティ部門、製品・包装設計部門、R&D部門、マーケティング部門を想定。同ガイドラインを活用することで、プラスチック戦略策定、優先順位とターゲットアクションの定義、製品エコデザインの取り組みの改善、バリューチェーンのイノベーションの特定、進捗の追跡、製品・ビジネス全体の環境パフォーマンスに関する信頼性の高いコミュニケーションを行うことが可能だとした。
QuantisとEAは2019年、プラスチック漏出プロジェクトを設立し、同課題に取り組んできた。同プロジェクトには、アディダス、アーラ・フーズ、ブラスケム、デカトロン、ダウ、イーストマン、マース、マクドナルド、エネルエックス、CITEO、Cotton Incorporated、Cyclos、European Bioplastics、European Tyre & Rubber Manufacturers’ Association、国際羊毛機構(IWTO)、PlasticsEurope、RadiciGroup、Sympatex Technologies、ザ・ウールマーク・カンパニーらが参加。戦略委員会は、国際自然保護連合(IUCN)、Life Cycle Initiative、国連環境計画(UNEP)、WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)らが務める。その他、諮問委員会には、CIRAIG、欧州委員会合同調査センター、マサチューセッツ工科大学、ナショナルジオグラフィック協会、世界自然保護基金(WWF)らが委員として参加している。
1950年から2015年に生産されたバージンプラスチック推定8億3,000万tのうち、リサイクルされたのは7%のみ。半分以上となる約4億9,000万tは最終的に埋立地や環境に流出した。近年のプラスチック汚染への懸念の高まりにより、同課題は農業や食品、消費財、海運など業界横断で最優先リスクとして扱われている。
【参照ページ】First standardized guidelines to measure plastic pollution across corporate value chains published by the Plastic Leak Project
【ガイドライン】The Plastic Leak Project Guidelines
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