信用格付大手米フィッチ・レーティングス子会社のフィッチ・ソリューションズは5月2日、今後10年間の再生可能エネルギーの最新見通しを発表。西欧では2023年までに再生可能エネルギー(水力発電除く)が最大の電源になるとの予測を示した。
今回のレポートでは、短期的には、新型コロナウイルス・パンデミックの影響で、再生可能エネルギー(水力発電除く)の成長は鈍化と予測した。2020年は電力需要が低下する上に、世界経済の低迷、サプライチェーンの混乱、投資家の投資リスク等の影響で、設備容量拡大に向けた投資が控えられるため、現在進行中の再生可能エネルギープロジェクトの完遂も危ぶまれるという。また、予算制約のある国営電力会社が設備容量拡大の維持するため、民間の電力会社の再生可能エネルギーへ投資に制限を課す可能性もあると指摘した。
但し、2020年以降については、官民ともに太陽光発電と風力発電への投資の機会が増加すると分析。西欧では2023年までに同地域の最大の電力源になり、2029年までには、設備容量は330GW以上増加。地熱発電に匹敵する1TW規模になると予測。全体で総電力の31%を占めるようになるとした。
例えば、エネルギー世界大手イタリアのエネルは4月30日、2020年第1四半期の発電量は、前年同時期の61,956GWhから53,928GWhに低下したと発表。石炭火力発電の減少が79%と大きい一方、再生可能エネルギーは12%の増加となった。同社電源構成は、石炭火力発電5.5%に対し、再生可能エネルギー49.5%。2020年第1四半期の再生可能エネルギーの内訳は、風力7,419GWh、水力15,224GWh、地熱1,594GWh、太陽光等で1,242GWhとした。同社は、イタリアとチリの石炭火力発電所を全て全廃した上に、2年以内にスペインとポルトガルでも全廃を予定している。一方、化石燃料関連の評価損は、2019年時点で40億ユーロを越えた。その他独電力大手RWEも、石炭の市場価格低迷に伴い、2020年の第1四半期の褐炭と無煙炭(石炭)を用いた石炭火力発電量が減少したと発表した。
再生可能エネルギーは世界規模では、2019年末までに設備容量1.3TWを超えており、10年後には2.6TW以上に拡大を見込む。フィッチ・ソリューションズは、主に中国が成長を牽引し、今後10年間で、再生可能エネルギー発電の42%を同国が占めると分析した。また、チリ等のラテンアメリカにおいても再生可能エネルギーが成長するが、中東および北アフリカ地域では、依然火力発電への依存度が高いため、再生可能エネルギーについては低迷すると指摘した。
【機関サイト】Fitch Solutions
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