機関投資家の気候変動アクション・イニシアチブClimate Action 100+は9月14日、ターゲットとしている上場企業161社のCEO及び取締役会議長に対し、二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)のための戦略と目標の発表を要求する書簡を送付した。同時に継続的にカーボンニュートラルへの道筋についてモニタリングしていくことを書簡の中で明言した。
同イニシアチブは2017年に発足。現在、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を含む世界の機関投資家500機関以上が参画している。運用資産総額は47兆米ドル(約4,700兆円)以上。二酸化炭素排出量の多い世界161社にターゲットを絞り、株主として排出量削減を要求する集団的エンゲージメントを進めている。161社は、世界の産業界からの二酸化炭素排出量合計の80%を占め、時価総額合計は8兆米ドル(約855兆円)を超える。
【参考】【国際】機関投資家団体Climate Action 100+、初の進捗レポート発行。約110社が長期削減目標策定(2019年10月8日)
【参考】【国際】機関投資家の気候変動団体Climate Action 100+、エンゲージメント対象企業を61社追加(2018年7月6日)
【参考】【国際】投資家大手225機関、世界大手約100社に気候変動情報開示を要求。日本企業も10社(2017年12月14日)
今回の発表では、2020年上半期に開発し、2021年に公表予定のカーボンニュートラルに向けた開示項目「Climate Action 100+ Net-Zero Benchmark」に準拠した情報開示を161社に要求するとともに、2050年までにカーボンニュートラル、2030年までに45%削減という削減速度と合致する長期目標の設定も求める。同指標は、加盟している機関投資家約50機関とともに、EYがサポートして開発。Transition Pathway Initiative(TPI)、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)のグランサム研究所、FTSE、カーボン・トラッカー、2° Investing Initiative(2°ii)も協力した。開示項目の数は30にも及び、対象企業には包括的な測定が求められる。
対象となる161社に含まれている日本企業は、ダイキン、ENEOSホールディングス、日立製作所、本田技研工業、日本製鉄、日産自動車、パナソニック、スズキ、東レ、トヨタ自動車の10社。この中には、気候変動対策に積極的な企業も消極的な企業も双方が入っており、純粋に現状の排出量の多さで選ばれている。
Climate Action 100+のエンゲージメントは強力で、161社のうち120社は、気候変動への監督に責任を持つ取締役が定められており、50社は2050年までにカーボンニュートラルを実現する戦略を発表済み。気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)情報開示を公式に実施した企業の59社に上る。
【参照ページ】Climate Action 100+ calls for net-zero business strategies & sets out benchmark of largest corporate emitters
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