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【国際】機関投資家団体CA100+、企業のカーボンニュートラル評価ベンチマーク発表。日本・中国企業でも進展あり

 機関投資家の気候変動アクション・イニシアチブClimate Action 100+(CA100+)は12月17日、2020年度の進捗レポートを発行した。同レポートの作成は今年で2年目。12月11日には、具体的な評価項目の「ベンチマーク」も発表され、ターゲット企業のカーボンニュートラルに向けたエンゲージメントが行われた。CA100+のターゲットとなった中国企業や日本企業でも2020年には大きな宣言が出た。

 CA100+には現在、世界の機関投資家545機関が参画。運用資産総額は52兆米ドル(約5,400兆円)。二酸化炭素排出量の多い世界167社にターゲットを絞り、株主として排出量削減を要求する集団的エンゲージメントを進めている。167社は、世界の産業界からの二酸化炭素排出量合計の80%以上を占め、時価総額合計は8.4兆米ドル(約870兆円)を超える。

【参考】【国際】機関投資家団体Climate Action 100+、初の進捗レポート発行。約110社が長期削減目標策定(2019年10月8日)
【参考】【国際】Climate Action 100+、ターゲット企業が167社に増加。ステート・ストリート加盟で5400兆円に(2020年12月4日)

 ターゲットとなっている167社の業種内訳は、石油・ガス39社、金属資源採掘23社、電力会社31社、重工業26社、交通・輸送26社、消費財・小売14社。ターゲット企業のうち、2020年に気候変動での大きなコミットメントを発表した企業の例として、BP、オキシデンタル・ペトロリアム、ペトロチャイナ(中国石油天然気)、リライアンス・インダストリーズ、レプソル、ロイヤル・ダッチ・シェル、SKイノベーション、BHP、ウールワース、ユニリーバ、セメックス、鴻海精密工業、ラファージュホルシム、カンタス航空、アメリカン航空、デルタ航空、ロールス・ロイス、フォード等を挙げた。その中には日本のENEOSホールディングスの名もあった。

 CA100+は12月11日に、投資先企業のカーボンニュートラルへのアクションを評価する枠組みとして「Climate Action 100+ ネットゼロ企業ベンチマーク」を発表している。ベンチマークの設定は9月に構想が明かされていた。今回の進捗レポートでも、同ベンチマークを基に、進捗状況の評価が実施された。

【参考】【国際】機関投資家団体Climate Action 100+、161社にカーボンニュートラル要求。日本企業も10社対象(2020年9月15日)

 同ベンチ−マークは、10個の項目で構成。「2050年までのカーボンニュートラル目標の宣言」「2036年から2050年までの長期削減目標」「2026年から2035年までの中期削減目標」「2020年から2025年までの短期削減目標」「脱炭素化戦略」「資本配分での整合性」「政策エンゲージメント」「ガバナンス」「TCFD開示」の9項目ではすでに具体的なチェック基準が確定している。削減目標に関する項目では、重要なスコープ3も含まれる。残る1項目の「公正な移行」については現在も策定作業が続けられている。ベンチマーク評価で活用されているデータは、TPI(Transition Pathway Initiative)、2˚ii、カーボントラッカーから提供されている。

 今回の進捗レポートでは、カーボンニュートラルを標榜する企業は167社のうちの43%にまで増えた。電力会社でも石炭火力発電の段階的廃止を明言した企業は26%にまで増えた。しかし、スコープ3までを含めた形でカーボンニュートラルを明言する企業は167社のうちの10%しかないということが明らかとなり、CA100+は「ギャップがある」と断じている。

 石油・ガス企業では、パリ協定と整合性のないプロジェクトが194個も進行しており、設備投資の68%がパリ協定不整合と言及。自動車では、ハイブリッド車(HV・PHV)や電気自動車(EV)への投資が過少のため移行ペースが遅いと述べた。

 CA100+は、2021年前半に、167社の企業毎の分析レポートも発表する考え。

【参照ページ】CLIMATE ACTION 100+ PROGRESS REPORT RECORDS ACCELERATED COMPANY COMMITMENTS TO NET-ZERO EMISSIONS BUT GAPS REMAIN
【ベンチマーク】Climate Action 100+ Net-Zero Company Benchmark
【ベンチマーク】Climate Action 100+ ネットゼロ企業ベンチマーク

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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