スウェーデン自動車大手ボルボ・カーズは1月12日、銀行団との間で、サステナビリティ・リンク・ローン型のコミットメントライン融資(リボルビング・クレジット・ファシリティ)契約を締結したと発表した。融資総額は13億ユーロ(約1,640億円)。融資期間は3年で、さらに1年間の延長を最大2回までできる。
今回同社は、2017年に契約した同額のサステナビリティ・リンク・ローン型のコミットメントライン融資枠を更新。同融資はクラブ・ディール方式で、21行が参加。シティグループ、HSBC、ノルデア、SEB等がコーディネーターに選ばれた。
ボルボ・カーズは、2010年に中国の浙江吉利控股集団(Geely)が買収。ボルボ・カーズと吉利汽車の合併も検討していると報じられている。同社は2019年に、気候変動戦略を発表し、2025年までに自動車生産での二酸化炭素排出量をゼロ、2040年までに販売製品使用、部品・原材料の調達、製品の廃棄・リサイクルまで含めたバリューチェーン全体での二酸化炭素排出量をゼロにすることを目標として掲げている。
それに先駆け2018年、電気自動車(EV)の新車販売比率を50%、リサイクルした再生プラスチック素材の新車使用での使用比率を25%にすることも目標として設定した。さらに2025年までに、自動車1台当たりの二酸化炭素排出量40%削減も目標として掲げ、自社事業での削減目標も25%と定めている。
サステナビリティ・リンク・ローンとして、今回の設定したSPTは、これらバリューチェーン全体の2040年カーボンニュートラルに向けた二酸化炭素排出量削減でKPIを置いた。
【参考】【スウェーデン】ボルボ、2025年までに新車種のプラスチック部品25%を再生素材活用に(2018年6月23日)
またボルボ・カーズは同日、スウェーデン・イェーテボリ市と協働し、2030年までに都市のカーボンニュートラルを実現するため、持続可能な技術を導入した実証実験区画を創設するも発表。両者はイニシアチブ「ヨーテボリ・グリーンシティ・ゾーン」として活動。スカンジナビア半島最大の港湾都市内に、二酸化炭素を排出しない輸送やインフラを備えることを目指す。
ボルボは、2040年までにカーボンニュートラル達成が目標。自動車1台あたりの二酸化炭素排出量40%削減や、自動車販売の50%を電気自動車(EV)にし、残りをハイブリット車にする計画を掲げている。二酸化炭素排出量については、製造や物流を含むバリューチェーン全体で25%削減に取り組む。
同社は、今回のイニシアチブを通じ、実際の都市で実験を行うことで、接続性、自動運転、カーシェア、電気自動車(EV)への移行等の「CASE」や、安全性についてサービス開発を加速する。
同区画では自動車が電気のみで走行することや、地理情報を活用し、制限速度内で走行するよう制御する技術も適用。自動車のアクティブセーフティ機能に接続し、道路間で情報を共有できる交通インフラも設置する。その他にも、EV化推進のため、充電ネットワーク等も整備する。
また同区画では、同社傘下のカーシェアサービスMが運営する自動運転タクシーを走行させる計画。Mは2020年、人工知能(AI)を活用し、ヨーテボリの渋滞削減および二酸化炭素排出量削減に成功。Mで配車する自動車1台で、市内に走行する既存車両8台を代替できる。
同社は、気候変動対策の障害になるのは、技術の欠如ではなく、実装を許容できるかにあると指摘。変革には、包括的なアプローチが必要だとし、すべてのステークホルダーとの深く継続的な協働を呼びかけた。
【参照ページ】Volvo Cars signs EUR 1.3 billion sustainability-linked revolving credit facility
【参照ページ】Volvo Cars signs EUR 1.3bn revolving credit facility
【参照ページ】Volvo Cars joins forces with hometown Gothenburg to help create climate-neutral city
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