ブリジストンと、キリンホールディングス傘下のキリン中央研究所は1月28日、中南米の乾燥地帯原産の低木グアユールを由来とする天然ゴム生産で、生産性向上に寄与する技術の開発に成功したと発表した。同技術では、キリンが有する植物大量増殖システム「袋型培養槽生産技術」を活用。ブリヂストンのタイヤ資源調達の多様化に寄与する。
天然ゴムは、紙パルプ 、パーム油、牛肉、大豆、木材と並び、森林破壊に関与しやすい品目の一つ。欧州委員会の「欧州原材料連合(ERMA)」が2020年9月に発表した「重要原材料アクションプラン」でも、原料調達が大きなリスクになると指摘されている。
【参考】【国際】国際環境NGO、森林破壊リスク高い6品目で銀行の融資・債券引受額発表。メガバンクも高リスク(2020年9月12日)
タイヤの原料となる天然ゴムの多くは現在、パラゴムノキが原料。パラゴムノキの主要栽培地が東南アジアに集中しているため、病害リスクや熱帯雨林減少等の課題を抱えている。今回注目されたグアユールは、米国西部からメキシコ北部が原産で、乾燥地帯での栽培が可能。天然ゴム成分の含有量に、バラつきがあることが課題視されていたが、袋型培養槽生産技術を活用することで、天然ゴム成分含有量の高い苗木が旺盛に増殖することを確認した。両社は、グアユールの大量増殖による安定的な原料確保を期待する。
ブリジストンは2017年、米国子会社ブリヂストン アメリカス・インク(BSA)と、イタリアのベルサリスとの間で、グアユールの商用化に向け戦略的な提携を開始。BSAのグアユール農業技術・加工プロセス技術と、ベルサリスの持つ商用化に向けたプロセス構築や市場開拓に関するノウハウを持ち寄り、グアユールの商用化に向け、生産性の高いグアユール品種の開発のための遺伝子研究を行っている。研究は、米アリゾナ州メサ市にあるブリジストンのグループ研究施設「Biorubber Process Research Center(BPRC)」が中心となっている。
【参照ページ】キリン独自の「袋型培養槽生産技術」を活用!ブリヂストンとの共同研究により、新たな天然ゴム資源となる植物「グアユール」の増殖に成功
【参照ページ】グアユールの商用化に向けブリヂストン米国子会社とVersalis社が提携
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