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【国際】グローバル企業79社と機関投資家457団体、各国政府にカーボンニュートラル加速要求。石炭火力廃止も

 グローバル79社のCEOは6月9日、6月11日から13日まで英コーンウォールで開催されるG7サミットを前に、G7首脳に対し、カーボンニュートラル(二酸化炭素排出量ネット排出量ゼロ)経済への転換を加速する要求する共同声明を発表した。また別途、機関投資家457団体(運用資産総額4,500兆円)も6月10日、世界各国の政府と国際機関に対し、同様の内容の共同声明を発表した。

 グローバル企業のCEO声明は、世界経済フォーラムの「CEO気候リーダーズ・アライアンス」に加盟している企業が出したもの。参画企業は、シーメンス、マヒンドラ・グループ、シュナイダーエレクトリック、ジョンソンコントロールズ、フィリップス、Signify、エリクソン、ヴェスタス・ウィンド・システムズ、JLL、ユニリーバ、ネスレ、ペプシコ、カールスバーグ、ハイネケン、イケア、ヤラ・インターナショナル、H&M、インディテックス、エンジー、オーステッド、BASF、DSM、ソルベイ、バイエル、シンジェンタ、ノバルティス、アストラゼネカ、ノボ・ノルディスク、ノボザイムス、ABB、DHL、A.P.モラー・マースク、インフォシス、ウィプロ、セールスフォース、スタンダードチャータード、ING、アリアンツ、アクサ、リースプラン、チューリッヒ保険。日本企業ではサントリーホールディングスと武田薬品工業の2社。

 G7各国政府に対するコミットメント要求の柱は3つ。

  • 2030年までに二酸化炭素排出量を半減させる国別削減目標の策定
  • 2050年カーボンニュートラルへのコミット
  • 先進国が気候変動緩和と適応に1,000億米ドルの資金拠出。国際開発金融機関での融資ガイドラインのコミット

 さらにG7各国政府に対し、具体的な政策実行も要求した。

  • カーボンプライシング制度の導入。カーボン市場の国際化
  • 全企業にカーボンニュートラル目標策定の要請と、スコープ3まで含めた情報開示
  • 化石燃料への補助金の全廃と、クリーンテクノロジー関連製品への関税引下げ
  • R&Dとイノベーションへの資金動員の拡大
  • 気候変動適応への投資加速

 また、具体的な産業政策の実行も要求した。

  • 発電:石炭火力発電の段階的全廃(公正な移行も実施)、再生可能エネルギー拡大、送電網や蓄電への投資
  • 交通:低炭素輸送の促進、輸送の電化、充電インフラや水素補給インフラへの投資
  • 不動産:断熱や冷暖房のリノベーション加速、グリーン調達の国際規範促進、家電の省エネ
  • 工業:素材開発やプロセスの二酸化炭素排出量削減スタンダード策定、素材のサーキュラーエコノミーも含めたグリーン調達の奨励
  • 農業:森林破壊の撲滅と劣化土地の再生の促進、サーキュラー、リジェネラティブ、気候スマート型の農業の奨励
  • 金融:グリーンファイナンスを増やす財政・金融政策、気候関連リスク移転メカニズム

 一方、機関投資家457団体の共同声明は、機関投資家の気候変動対策推進イニシアチブInvestor Agendaによるもの。参画機関投資家は、カリフォルニア州職員退職年金基金(CalPERS)、カリフォルニア州教職員退職年金基金(CalSTRS)、ニューヨーク州財務長官、ニューヨーク市財務長官室、AP1、AP3、AP4、AP6、AP7、ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズ(SSAG)、フィデリティ・インターナショナル、シュローダー、HSBCアセット・マネジメント、BNPパリバ・アセット・マネジメント、アムンディ等。日本の機関投資家では、第一生命保険、三井住友トラスト・アセットマネジメント、三菱UFJ信託銀行、アセットマネジメントOne、ニッセイアセットマネジメント、野村アセットマネジメント、日興アセットマネジメント、りそなアセットマネジメント、野村不動産投資顧問。全体の運用資産総額は41兆米ドル(約4,500兆円)。

 要請内容は、全ての政府に向け、全部で5つ。

  • 11月の第26回国連気候変動枠組条約グラスゴー締約国会議(COP26)の前に、2030年に向けて告別削減目標を引き上げ、気温上昇を1.5℃に制限し、2050年までのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)への計画的な移行を強化する
  • 20世紀半ばの国内のカーボンニュートラルにコミットし、炭素集約型セクターの明確な脱炭素化ロードマップを含む野心的な中間目標を伴うロードマップを示す
  • 目標達成への国内政策を実施し、民間投資を奨励し、2030年以前の野心的な行動を確実にする。具体的には、堅固なカーボンプライシング設定、期限を設定した化石燃料補助金の撤廃、石炭火力発電の段階的廃止、信頼できる1.5℃の気温上昇経路に沿った発電、炭素集約型インフラの新設回避(石炭火力発電所新設禁止)、影響を受ける労働者とコミュニティのための公正な移行(ジャスト・トランジション)計画の整備
  • 新型コロナウイルスからの経済復興計画が、カーボンニュートラルへの移行を支持し、回復力を強化することを確実にする。例えば、ゼロエミッションエネルギーおよび輸送インフラストラクチャへの投資の促進、炭素集約型インフラへの新たな公共投資の回避、政府支援を受ける炭素集約型の企業に対しパリ協定に準拠した気候変動移行計画策定を要求
  • 気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに沿った情報開示の義務化

【参考】【国際】Investor Agenda、機関投資家向けの包括的気候アクション策定要請。今後5年で100%(2021年5月21日)

【参照ページ】Supercharging public-private efforts in the race to net-zero and climate resilience
【参照ページ】Over 450 investors managing $41 trillion in assets tell governments to get climate policy right and massive investment will flow

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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