世界経済フォーラム(WEF)は5月24日、人道的ニーズに対する長期的かつ市場主導型ソリューションの手法を解説したディスカッションペーパーを発表した。脆弱な社会環境や紛争の影響を受ける環境で生活しているる世界の10億の人々を支援するための処方箋としての位置付けている。
WEFは2019年1月、世界銀行及び赤十字国際委員会(ICRC)と共に「人道投資イニシアチブ」を発足。さらに、2021年1月には、人道危機に対応するための投資を加速させるため、「人道・レジリエンス投資(HRI)イニシアチブ」に発展させている。現在同イニシアチブのパートナー機関は、世界銀行、イスラム開発銀行(IsDB)、赤十字国際委員会(ICRC)、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)、世界食糧計画(WFP)、欧州委員会、米国際開発庁(USAID)、フランス開発庁(AFD)、オランダ開発金融公庫(FMO)、国際協力機構(JICA)、GSG、マスターカード、ロンバー・オディエ、ボストン・コンサルティング・グループ(BCG)、国際救済委員会(IRC)、セーブ・ザ・チルドレン、デンマーク難民委員会、IMD等。イケア財団が資金面でバックアップしている。
【参考】【国際】世界経済フォーラム、世界銀行、国際赤十字、「人道投資イニシアチブ」発足。参加企業募集(2019年1月26日)
HRIは、2020年にBCGの主導で「組織レディネス・プレイブック」を発行。組織が人道支援に取り組むために必要な仕組み、プロセス、スキル等を解説した。HRIは、今後3年間で、これを実践的なモデルへと発展させる。そのため、人道支援機関、開発組織、ドナー政府、開発金融機関から先駆者を招聘し、HRIの組織能力を向上させる計画。
今回のペーパーでは、プロジェクトを進める上で、「アイデア期」「コンセプト期」「パイロット期」「成長期」「拡大期」の5つのステージがあると説明。さらに、各ステージ毎の必要なアクションを整理している。特徴は、初期には慈善活動的なアプローチで着手しつつ、知見をためた上で、市場型のビジネスモデルへと拡大していくことを提唱している点。
同イニシアチブはさらに、人道支援に関する投資案件の基準を策定し、資金調達も支援。新たなツール、研究、標準化、共通言語、取り組みのインパクトの測定を可能にする分析フレームワーク等も開発していく予定。
【参照ページ】World Economic Forum Calls for New Partnerships to Generate Private Capital for Fragile Communities
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