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【イギリス】イングランド銀行、第1弾気候ストレステスト結果発表。早期対策が最もコスト低い

 英イングランド銀行は5月24日、銀行と保険会社を対象に実施した気候ストレステスト結果を発表した。イングランド銀行は2年に一度の実施を制度化しており、今回が第1弾の結果発表となった。

【参考】【イギリス】イングランド銀行、気候変動ストレステストのシナリオ発表。まずはお試し実施(2021年6月9日)

 今回の気候ストレステストの狙いは、銀行と保険会社のリスクマネジメントの改善、リスクエクスポージャーの把握、銀行と保険会社の気付きや反応の確認の3つ。

 気候ストレステスト実施では、3つのシナリオが用意された。具体的には、気温上昇を早期に抑制する「早期行動シナリオ」、遅れて抑制する「後期行動シナリオ」、抑制しない「追加対策なしシナリオ」。各シナリオで30年の時間軸でリスクを検証した。

 結果、気温上昇を早期に抑制するシナリオが、最も全体コストを低くできることがわかった。また、コストは最終的に顧客に転嫁され、特に追加対策なしシナリオでは、物理的リスクに弱い家庭や企業が最も多くのコスト負担を強いられることもわかった。また、緩和に向けた移行に必要なコストは、ペイすることもわかった。

 一方、各社から提出資料からは、リスクマネジメントに必要なデータ不足が存在していることも明らかなとなった。また、リスク評価やモデル化のアプローチでも大きな差異がみられた。

 また、イングランド銀行の保険分析部門トップのステファン・クラウス氏は6月8日、英国保険協会(BSI)で講演を実施。気候ストレステストに関し保険会社向けの状況を説明した。

 まず、今回の3つのシナリオすべてにおいて、保険会社が効果的に対応しなければ、気候リスクは持続的に保険会社の収益性を大きく損なう可能性があることが予測されたとした。「追加対策なしシナリオ」では、年間約12億ポンドの保険収益減リスクがあるという。同規模の損失は、個々の保険会社や金融システム全体が、将来の他の損害を吸収する力を損ねてしまう。そのため、早期の対策が求めれるとした。

 損害保険のリスク把握では、データ不足が顕著な分野として、保険引受先のスコープ3排出量と、企業資産の地理データの2点と説明。データギャップを埋める必要を述べた。また、第三者の評価モデルに依存すぎているとの考えも披露し、評価モデルを気候ストレステストのシナリオに適合させる必要があるとした。

 また、採用した3つのシナリオは、「最悪ケース」シナリオではなく、今回のシナリオ分析には、大量移住や紛争によって引き起こされる潜在的な追加損失は含まれていないと説明。さらに損害が大きくなる可能性も示唆した。

 イングランド銀行は、今回の結果を基に、さらに監督の在り方を磨いていく考え。

【参照ページ】Bank of England publishes results of the 2021 Biennial Exploratory Scenario: Financial risks from climate change
【参照ページ】Climate Biennial Exploratory Scenario: Insurance Insights – speech by Stefan Claus

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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