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【EU】欧州委、グリーン・デジタルトランジションの2022展望レポート発表。相乗効果の重要性

 欧州委員会は6月29日、グリーン・デジタルトランジションに関する戦略展望をまとめた2022年版の年次報告書を発表した。今回の発表では、グリーン・デジタルトランジションの実現を加速させると同時に、双方の戦略の整合性を図り、相乗効果を最大化することの重要性を訴えた。また、10の重要行動分野を設定している。

 同報告書の前提として、ロシアのウクライナ侵攻により、短期的にはエネルギー価格や食料価格の上昇など大きな社会影響を受けている。中長期的には、双方のトランジションの実現に不可欠な原材料への安定的なアクセスが最重要となるため、サプライチェーンの短縮化、脆弱性の低減、友好国間での調達への移行圧力が高まるとした。

 デジタル技術は気候変動の抑制、汚染削減、生物多様性の回復など持続可能な社会に貢献する一方、エネルギー消費、電子廃棄物、環境負荷の増加の要因となっている。特に、エネルギー、物流、製造、建設、農業の5つのセクターは最も二酸化炭素排出量が多いため、テクノロジーの活用による削減効果も大きい。相乗効果を生み出す整合性のとれた戦略実現が求められる。

 また、グリーン・デジタルトランジションの実現に向けて、ウェルビーイング、サステナビリティ、サーキュラーエコノミーを土台とした枠組み構築のため、2030年まで毎年6,500億ユーロ(約89兆円)の追加投資が必要とした。

 同報告書は、グリーン・デジタルトランジションの実現による機会の最大化とリスクの最小化のために、政策対応が必要な10のテーマを掲げた。

  • 双方のトランジションを実現する部門のレジリエンスと戦略的自律性の強化
  • グリーン・デジタルの外交能力の強化
  • 重要な原材料と食料の供給に関する戦略的な管理と、新たな依存関係を回避するためのシステム的なアプローチの採用
  • 社会保障、社会的保護の強化
  • 教育、研修でのグリーン・デジタルトランジションの導入
  • 新技術やインフラ、R&I、人的資本への投資と国家横断での人材活用の仕組み
  • GDP以外のウェルビーイングに関するモニタリング指標の開発
  • 持続可能なビジネスモデルと消費者行動のための将来性のある規制導入
  • EUが先行者利益を享受できるよう修理権や再利用、リサイクルに関する基準に対するグローバルなアプローチの強化
  • 堅牢なサイバーセキュリティと安全なデータ共有の枠組みの推進

 欧州委員会は今後、2022年11月に欧州戦略・政治分析システム(ESPAS)の年次会議を開催予定。同報告書を含めた2022年の動向について議論し、その結果を報告する。同時に2023年に向けた検討アジェンダの認識合わせも行う。2023年の報告書では、今後数十年に欧州が直面する重要な課題と機会に関する報告がされる予定。

【参照ページ】2022 Strategic Foresight Report: twinning the green and digital transitions in the new geopolitical context

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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