原子力規制委員会は11月2日、委員会を開催し、原子力発電所の運転期間を、原則40年、最長60年としている現行ルールを改定し、運転開始から30年で劣化評価を行いつつ、最長期限を設けない方針を示した。
【参考】【日本】原子力規制委、原発運転期間ルールをエネ庁所管に移管する方向を実質了承。40年ルール撤廃へ(2022年10月7日)
現行の原子炉等規制法は、発電用原子炉の運転期間を40年とし、原子力規制委員会の認可を受けて1回に限り延長することができると規定。また、延長期間は、最長20年と定められている。加えて同法では、原子炉の劣化を評価する「高経年化技術評価」を、運転開始30年後と、それ以降10年毎に実施することが義務付けられており、同評価制度でも運転60年後までを想定している。今回はこれを大幅に改定しにいく。
日本では、これまでに運転開始後40年を超えた発電用原子炉が4基、同30年を超えた発電用原子炉が13基ある。原子力規制委員会の山中伸介委員長は10月5日、定例記者会見の中で、これまで原子力発電の寿命を一律40年間としてきたいわゆる「40年ルール」にこだわらない姿勢を示し、安全確認がとれれば、期限を設けずに原子炉を運転を認める方向性を掲げていた。
今回示した方針は、高経年化技術評価を運転開始30年後から10年以内毎に実施し、基準を満たせば、無期限で稼働を認めるという内容。方針が実現すると、運転延長認可と高経年化技術評価の二本立てだった制度から、運転延長認可という概念がなくなり、高経年化技術評価に一本化される見通し。原子力規制委員会は、法改正案を2022年内に作成する計画。同時に、経済産業省も電気事業法等を改正する方針。
委員会後の会見の中で、山中伸介委員長は、現在の高経年化技術評価は、主にソフトウェア面のチェックを行い、厳密なハードウェア面のチェックは、運転開始40年後の運転延長認可の中でのみ実施してきたと説明。一方、今回提示した案では、高経年化技術評価は、ハードウェア面のチェックに関しても10年以内毎に実施していくため、現行ルールよりも遥かに厳しい規制になるとの認識を示した。
【参照ページ】第48回原子力規制委員会
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