世界経済フォーラム(WEF)は1月16日、2023年の年次総会(ダボス会議)で、食料システムの変革に成功してきている国として7ヶ国の事例を紹介したレポートを発表した。気候変動、自然資本、栄養の3つの視点を統合した変革を加速させるために重要なアクションも提言した。
今回取り上げられた国は、エチオピア、ガーナ、ベトナム、インド、アルジェリア、カナダ、ニュージーランド。エチオピアでは、政府政策が的を得た体系的アプローチを実施した事例として紹介。インド、ベトナム、ガーナについては、地域の農家と中小企業のサプライチェーンの連携により、戦略的な農業セクターの変革に成功している事例として取り上げた。
また、イノベーションの事例では、アルジェリア、ベトナム、カナダ、ニュージーランドを紹介。水分野ではアルジェリア、米作ではベトナム、カーボンニュートラル及びネイチャーポジティブ型の農業での農家の収益性改善に関しては、カナダとニュージランドを紹介した。またいずれの事例も横展開が可能なものとしている。
提言としては、5つを盛り込んだ。まず、政府による統合的な食料システム変革のロードマップ策定と中長期的な目標設定。内容には、政府予算と政策介入の全体像を詳述し、官民パートナーシップ、金融を活用して行動することが重要と指摘した。
次に、潜在力の高い農家と連携している企業を優先させた政策策定。卸売事業者は、特に発展途上国や新興市場で影響力が強く、連携が成功できれば、スケールアップし、成功の道となるとした。また、地元での調達とアフォーダブルな価格の栄養摂取を可能にする効率的なアグリゲーターモデルも注目されるべきとした。
3つ目は、公的資金と民間資金を組み合わせたブレンデッド・ファイナンスモデルの導入。その中で政府の役割は、アフォーダブルな価格での負債アクセスの向上と、資金と技術でのリスク回避メカニズムの調整。とりわけ小規模農家をターゲットにしたイノベーションを促進する必要があるとした。
4つ目は、技術とイノベーションのエコシステムを通じた変革の迅速なスケールアップ。スケールアップには、融資、政策、技術、企業活動、競争前の協力等が変数となっており、農家にとってのインセンティブを整備することが加速の秘訣とした。
最後に、次世代の行動指向のマルチステークホルダー・パートナーシップの運用。業界を超え、適切なリーダーを招集し、目標達成を意識しながらのパートナーシップ運用が需要とした。
【参照ページ】Countries That Tackle Food Crisis Can Boost 'Jobs, Health and Nature’ and Meet Net-Zero Goals
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく ログインする※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら