持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)とボストンコンサルティンググループは1月24日、EUが検討しているデジタル製品パスポート(DPP)制度の影響を分析した3つの報告書を発表した。企業に対し不確実性が高い今からアクションする重要性を訴えた。
EUは、サーキュラーエコノミー化を加速させるため、2022年3月に成立した「持続可能な製品のためのエコデザイン規則(ESPR)」で、DPP制度の導入を盛り込んでおり、2024年に詳細設計の完成目指している。DPPには、原材料の成分や原産地をトラッキングできるようになっており、トラッキング対象には容器・包装も対象となる。また、修理、改修、リサイクル性に関する情報も盛り込まれ、クローズドループ型のサーキュラーエコノミー化を制度面で下支えする。
DPP制度の導入は2027年までに第1弾の製品群で開始予定。優先産業として、エレクトロニクス、自動車、アパレル、プラスチック、建設・建築物、家具、化学の8つを特定しており、これらを含む13以上の産業で2030年までに導入される見込み。
今回の発表は、DPPを包括的に分析し、DPPの概要、影響が大きいプレーヤーの特定と具体的な課題を報告したもの。DPP制度は、輸入製品や部品、中間製品にも規制を適用予定であり、EU市場だけではなくグローバルに影響を与える可能性が高い。
(出所)WBCSD
しかし、未解決の課題が多く、タイムラインも不透明であるため、不確実性が高いとした。同報告書では、スコープ、技術、データの3テーマに関して8つの課題があることを指摘し、エレクトロニクス業界を例に、バリューチェーンに与える影響を分析した。
(出所)WBCSD
企業向けには、影響を軽減する方法として4つのテーマに関して「透明性とデータ・セキュリティのバランスの考慮」「既存の報告プロセスやITシステムとの相互運用性の確保」「EU域外のサプライヤーを含めたバリューチェーン全体での協力体制の準備」「DPPの不確実性への事前検討」等のアクションを提案。不確実性が高い現在の状態から早期に準備をすることで利益を得る可能性が高いとした。欧州委員会に対しては、議論の早い段階から関連する企業を巻き込み推進する必要性を訴えた。
(出所)WBCSD
【参照ページ】The EU Digital Product Passport
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