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【アメリカ】イーライリリーとノボノルディスク、インスリン薬価を約70%引下げ。連邦政府政策

 米国でインスリン大手2社が相次いで薬価を約70%引下げた。インスリンは糖尿病患者に処方されたり、市販されたりしているが、近年低所得者層の医療費負担が社会問題なっている。背景には、バイデン大統領が低所得者層支援や政府歳出削減のため特にインスリンの薬価引下げ政策を発動しており、それに応じた形となっている。先進国の中でも医薬品アクセスが医薬品業界の大きな潮流となってきた。

 米国では、インフレ抑制法により、公的医療保険メディケアに加入している高齢者のインスリン費用の上限が1カ月35ドル米に設定された。但し、メディケア未加入者に関しては、上限制度が導入されていない。また3月に発表された予算教書でも薬価引下げが重要政策に掲げられていた。

【参考】【アメリカ】政府、市民の処方薬コスト削減を1月から発動。インフレ抑制法の予算実行(2022年11月6日)
【参考】【アメリカ】2024年予算教書発表。生活費支援、環境、移民、対中国、富裕層増税。10年で財政赤字400兆円削減(2023年3月12日)

 医薬品世界大手米イーライリリーは3月1日、米国で糖尿病患者向けに販売する複数のインスリン薬の薬価を70%引き下げると発表した。対象の医薬品は、インスリンリスプロや、インスリンリスプロとインスリンリスプロプロタミンの混合薬、速効型インスリン、インスリングラルギンとして販売しているブランド名「インスリンリスプロ」「ヒューマログ」「ヒューマリン」「ランタス」「レズボグラー」。適用は2023年4月1日から。

 同社は、医療保険に加入している患者に対しては、薬局での自己負担額を自動的に35米ドルに自主制限する「インスリンバリュープログラム」も発表。保険未加入者に対しては、同社ホームページから入手できる「セービングカード」をダウンロードして店頭提示すると35米ドルで購入できる。

 同社は今回の決定に関し、「イーライリリーは過去100年にわたり、糖尿病の影響に対処し、患者の症状を改善するために、インスリン製剤やその他の医薬品の開発に注力してきた。すべての糖尿病患者が病気をコントロールし、必要なインスリンを手に入れることができるようになるまで、私たちは立ち止まることはない」とコメントした

 続いて、ノルウェー医薬品大手ノボノルディスクも3月14日、米国で糖尿病患者向けに販売する複数のインスリン薬の薬価を最大75%引き下げると発表した。

 今回対象となった医薬品は、「レベミル」「ノボリン」「ノボログ」「ノボログ ミックス70/30」。インスリン投与には、作用が長期のものと、短期のものがあり、投与方法についてもペン型の容器に針をつけた「ペン型」と、通常の注射器のように別容器から補充する「バイアル型」があるが、全てが薬価引下げの対象となる。適用は2024ね1月1日から。薬価引下げ幅は、「ノボログ」「ノボログ ミックス70/30」が75%、「ノボリン」「レベミル」が65%。ノーブランドで販売しているインスリンも同様幅引き下げる。

 同社も、インスリン販売で自己負担額上限をすでに独自に設定しており、対象患者は25米ドルから35米ドルで入手できる。しかし今回、インスリンを含む医療費の支払いが困難な患者がいることを認識しているとし、わかりやすい負担軽減が必要と判断。一律の薬価引下げを決めた。

 仏サノフィも2022年6月29日、同社の「インスリン・バルユー・セービング・プログラム」を打ち出し、1種類または複数のサノフィ製インスリン30日分を35米ドルで入手できるプログラムを導入。従来の99米ドルから大きく引下げていた。サノフィには現在も米連邦政府から薬価引下げの圧力がかかっており、他の2社と同様の引下げを打ち出すと思われる。

【参照ページ】Lilly Cuts Insulin Prices by 70% and Caps Patient Insulin Out-of-Pocket Costs at $35 Per Month
【参照ページ】Novo Nordisk to lower U.S. prices of several pre-filled insulin pens and vials up to 75% for people living with diabetes in January 2024
【参照ページ】Sanofi to lower out-of-pocket cost of insulin for uninsured patients and expand access in underserved communities

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