英環境シンクタンクNGOプラネット・トラッカーは11月14日、金融機関向けに農業での窒素肥料の使用量削減の重要性をまとめた報告書を発表した。
同報告書は、金融機関に対し世界の食料生産が増加する中で窒素肥料の利用の効率化を促進することを訴えたもの。窒素肥料の生産は世界のエネルギー使用量の2%、二酸化炭素排出量の最大5%を占める。プラネタリーバウンダリーでも持続可能な使用量を大幅に超過していると評価されている。
【参考】【環境】科学者チーム「プラネタリーバウンダリー2023」発表。9項目全てが初めて出揃う(2023年9月16日)
同報告書では、窒素肥料は世界の食料安全保障上必要不可欠としつつ、先進国では、投入した肥料の3分の1程度しか作物に吸収されず、余剰分は水系に流れ込み、水質汚染や藻の大量発生等による経済損失を招いていると指摘。2013年から2018年の間に藻の大量発生により、水産養殖企業が最大3.6億米ドル(約542億円)の損失が発生したとのこと。効率的な利用が必要と訴えた。
また、肥料の適正な使用は、生物多様性のための保全活動を促進し、施肥に関するコスト削減、農作物の収量増加や食料安全保障の強化につながるとし、発展途上国での肥料の使用機会の増加が必要とした。
同NGOは、金融機関に対して肥料使用の非効率性の観点でポートフォリオの見直しを、企業に対して窒素依存度とそのエクスポージャーを報告することを求めた。政府に対しては、二酸化炭素排出量を削減しつつ食料安全保障を損ねることのない政策の展開を求めた。窒素規制値の検討や窒素汚染の規制等、7つのケーススタディも紹介した。
【参照ページ】NITROGEN FERTILISER PRODUCTION OUTSTRIPS GLOBAL NEEDS AND EXCEEDS PLANETARY BOUNDARIES BY FACTOR OF TWO
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