
欧州委員会と、EU消費者当局の消費者保護協力(CPC)ネットワークは4月30日、航空会社20社に対し、不公正商行為指令(UCPD)が禁止しているグリーンウォッシュの疑いがあるとし、30日以内にEU消費者法に基づく是正措置報告を命じた。
今回の措置は、消費者団体の欧州消費者機構(BEUC)からの警告に基づくもの。EUでは2月、不公正商行為指令(UCPD)と消費者権利指令(CRD)の改正が成立し、グリーンウォッシュに対する規制が引き上げられた。
【参考】【EU】不公正商行為指令(UCPD)と消費者権利指令(CRD)の改正成立。カーボンオフセットでの製品環境訴求禁止(2024年2月23日)
今回指摘されている事案は、複数に渡る。まず、カーボンクレジットやSAFクレジットの購入で、二酸化炭素排出量を削減できるもしくは相殺できるという印象を与えることはUCPD違反と指摘。欧州委員会は今回、オフセットの主張に関しては、取引業者は、その主張のどの部分が自社事業に関係し、どの部分がオフセットの購入に依存しているのかについて透明性を確保すべきとした。
続いて、「SAF」という用語を、当該燃料が環境に与えるインパクトを明確に説明することなく使用することも禁止されているとした。「グリーン」「持続可能」「責任ある」という用語をエビデンスなく使用している可能性もあるとした。
航空会社がフライトの温室効果ガス排出量を比較した情報をユーザーに提示する際にも、算出の根拠となる要素に関する十分かつ正確な情報が必要とした。特定のフライトの温室効果ガス排出量の「計算機」をユーザーに提供する際にも、計算結果が信頼できるかどうかに関する十分な科学的証拠を示すことも必要とした。
さらに、温室効果ガス排出量(GHG)または将来の環境パフォーマンスをネットゼロに向けて前進していると主張する際には、明確かつ検証可能な企業としてのコミットメント、目標、第三者機関による検証を受ける必要があるとした。
欧州委員会とCPCネットワークは、各航空会社からの回答を受け取った後、航空会社との協議の場を持つ。内容に合意できた場合には、当局として履行モニタリングが始まる。内容で合意できなかった場合は、CPCネットワークは制裁を含むさらなる強制措置を決定することができる。
【参照ページ】Commission and national consumer protection authorities starts action against 20 airlines for misleading greenwashing practices
Sustainable Japanの特長
Sustainable Japanは、サステナビリティ・ESGに関する
様々な情報収集を効率化できる専門メディアです。
- 時価総額上位100社の96%が登録済
- 業界第一人者が編集長
- 7記事/日程度追加、合計11,000以上の記事を読める
- 重要ニュースをウェビナーで分かりやすく解説※1
さらに詳しく
ログインする
※1:重要ニュース解説ウェビナー「SJダイジェスト」。詳細はこちら