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【EU】自然再生法、成立。農林業での生態系再生を加盟国に義務化。広範な影響

 EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会は6月17日、陸上と水系の生態系を再生させる自然再生法案を可決。同EU規則案はすでに欧州議会でも可決されており、同EU規則は成立した。同EU規則はEU官報掲載後に発効し、EU加盟国政府に直接適用される。

【参考】【EU】EU理事会と欧州議会、自然再生法案で政治的合意。2050年までに劣化生態系を90%以上再生(2023年11月11日)

 同EU規則は、EU加盟国政府を対象に、2030年までにEUの陸地と海域の少なくとも20%、2050年までに再生が必要なすべての生態系を再生するための法的義務を設定することを目的としている。対象は、農地、森林、海洋、淡水、都市生態系まで多岐にわたる。再生と劣化防止の双方の要件が定められた。

 再生では、EU加盟国は、2030年までに、湿地、草原、森林、河川、湖沼等の陸域生態系(附属書I)、沿岸、淡水、海草、サンゴ礁等の水系生態系(附属書II)に記載されている生息地のうち、状態の悪い30%以上を再生させるための措置を講じることを義務化。加えて、2030年まで、EU加盟国がこの規則で定められた再生措置を実施する際、欧州委員会が指定する自然保護区「NATURA2000」のサイトを優先するも定めた。

 さらに、2040年までに状態の悪い生態系の60%以上、2050年までに90%以上を再生させるための措置を確立することも義務化される。非常に一般的で広く分布している生態系については、柔軟性を認める要件が設けられた。

 農地では、3つのKPIを設定。具体的には「草地蝶指数」「多様性の高い景観特性(HDLF)を持つ農地の割合」「農地の鉱物性土壌中の有機炭素蓄積量」。加盟国は、この3つのうち2つ以上を改善するための措置を講ずる義務を負う。国単位で共通農地鳥類指標を増加させるための期限付き目標も設定される。遅くとも2030年までに花粉媒介者の個体数の減少を回復させるための具体的な対策が求められている。

 EU加盟国は、排水された泥炭地の再生目標、EUレベルで2030年までに30億本以上の新規植林目標も設定。2030年までに25,000km以上の河川を自然流域にするため、地表水域の連結性を阻害する人工的な障害を特定、除去、再生し、自然の河川の連結性を維持することも義務化した。

 これらを踏まえ、EU加盟国は今後、国別再生計画を策定し、欧州委員会に提出しなければならない。EU全体の生物多様性指標に基づく進捗状況のモニタリングと、報告の義務も負う。

 同EU規則は、事業者ではなく、政府に向けた義務を定めているが、今後各EU加盟国政府は義務を履行するための法規制を自主的に定めるため、事業者も大きな影響を受ける。欧州委員会は、2033年までに、同EU規則の適用と、農林水産業への影響、およびより広範な社会経済的影響を検証する予定。

【参照ページ】Nature restoration law: Council gives final green light

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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