
日本の公的年金基金6機関は、7月上旬までに国連責任投資原則(PRI)に署名した。これまで日本の公的年金基金では、2015年に署名した年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)だけの状態が続いていたが、ついに他の公的年金基金でもESG投資の波が来た。
PRIに署名したのは、3月15日に国家公務員共済組合連合会(KKR)、5月14日に地方公務員共済組合連合会、5月16日に国民年金基金連合会(PFA)、6月28日に公立学校共済組合と全国市町村職員共済組合連合会、7月4日に警察共済組合。
運用資産は、各年金基金の公表データによると、国家公務員共済組合連合会(KKR)が約10兆円、地方公務員共済組合連合会が約17兆円、国民年金基金連合会(PFA)が約5兆円、公立学校共済組合が約6兆円、全国市町村職員共済組合連合会が約16兆円、警察共済組合が約4兆円。合計で約58兆円。
公的年金基金のPRI署名が相次いだ背景には、日本政府の後押しがある。岸田文雄首相は2023年10、東京で開催された国連責任投資原則(PRI)の年次総会「PRI in Person」に出席し、日本の公的年金基金7機関がPRIに署名する予定と発表。7機関の運用資産総額は90兆円と語っていた。また、日本政府は6月に発表した「新しい資本主義のグランドデザイン及び実行計画2024年改訂版」の中で、代表的な公的年金基金の国連責任投資原則(PRI)署名を2024年中に完了するとしていた。
【参考】【日本】岸田首相、公的年金7機関のPRI署名意欲表明。ニッセイ清水社長は「雨降って地固まる」(2023年10月3日)
【参考】【日本】主要公的年金、PRI署名を2024年中に完了へ。アセットオーナー・プリンシプル策定も(2024年6月30日)
日本政府が署名予定としていた7機関のうち、現在まで未加盟なのは日本私立学校振興・共済事業団。但し、同機関も、署名に向けて調整しているという。日本私立学校振興・共済事業団の運用資産は約5.4兆円。
日本からは公的年金基金以外からも署名が増えている。文部科学省所管の科学技術振興機構(JST)が2023年8月、経済産業省所管の産業革新投資機構(JIC)が2023年11月に署名。全国共済農業協同組合連合会(JA共済連)も2022年11月に署名している。企業年金連合会(PFA)はすでに2016年に署名している。
GPIFの署名機関には、署名の概ね2年後から年次報告義務が発生する。そのため、GPIFも2015年に署名したが、実際の戦略的なESG投資開始は2017年からとなった。今回新規署名の公的年金基金に関しても、署名から少し遅れて運用方針やスチュワードシップ方針に反映されるとみられる。
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