自動車世界大手米GMが8月から実施しているEV車種「ボルトEV」の全車両リコール問題で、8月30日に米カリフォルニア州サクラメントの駐車場に駐車されていた「シボレー・ボルトEV」で再び火災が発生した。同問題では、EVバッテリーを供給しているLG化学にも損害賠償が及んでいる。
同案件では、GMは2020年11月からEVバッテリーの充電を完全充電容量の90%に制限するソフトウェア・アップデート対応を実施し、さらに4月には100%の完全充電を実施しても火災発生の可能性が低いソフトウェアにアップデータする対応もしていた。しかし結局7月、2017年式と2019年式ボルトEVの一部のモデルでリコールを開始。8月には、ボルトEUVを含むボルトEVの全モデルをリコール対象とした。
8月発表のリコールでは、新たに追加されたリコール対象車両は、米国で約6万台、カナダで約1万台。追加費用は10億米ドル(約1,100億円)に上るとしている。
GMの発表によると、LG化学が供給したバッテリーは、LGエナジーソリューションが生産した「NCM622ポーチ型」をLG化学がモジュール化した製品で、陽極材の成分としてニッケル・コバルト・マンガンが各々6対2対2の割合で配合された製品。まれに、陽極タブの破損とセパレーターの屈曲の2つ欠陥が同時に発生しており、火災のリスクが高まっているという。GMとLG化学は合同で原因究明にあたっている。
LGエナジーソリューションに対しては、NECが9月3日、競争激化で赤字が続く電池事業完全子会社「NECエナジーソリューションズ」を、LGエナジーソリューションに売却することも発表した。同社は2014年に創業。しかし2020年に新規受注を停止し、売却先を検討していた。NECは日本での産業用小型蓄電池事業のみを引き継ぐ。
またLGエナジーソリューション8月、2024年末から、豪オーストラリア・マインズからニッケルを71,000t、ニッケルを7,000t調達する契約を締結したことも発表している。EV130万台分に相当する。オーストラリア・マインズは、豪クイーンズランド州で15億豪ドル(約1200億円)を投資し、ニッケルとコバルトの採掘プロジェクト「スコーニ・プロジェクト」を手掛けており、そこからの調達となる。同鉱区では、尾鉱ダム問題では、廃棄物を日干しにして砂上の物質にしてから保管する「ドライスタッキング方式」を採用し、水害問題対策を講じている。
米国でのEV市場の拡大は止まりそうにない。フォード、GM、ステランティスの3社は8月5日、2030年までに米国の年間新車販売台数の40%から50%をEV、燃料電池車(FCV)、プラグインハイブリッド車(PHV)にする合同目標を発表している。
【参照ページ】General Motors to Recall Additional Bolt EVs
【参照ページ】Ford, GM and Stellantis Joint Statement on Electric Vehicle Annual Sales
【参照ページ】連結子会社の異動(株式譲渡)に関するお知らせ
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