EUの欧州金融監督機構(ESAs)を構成する欧州証券市場監督局(ESMA)、欧州銀行監督局(EBA)、欧州保険・企業年金監督局(EIOPA)は9月30日、サステナブルファイナンス開示規則(SFDR)に基づく規則テクニカル基準(RTS)草案に関し、化石燃料ガスと原子力発電に関する投融資を別途開示するよう求める最終報告書を欧州委員会に提出した。
今回の制度設計は、欧州委員会が、EU気候変動タクソノミーに原子力発電とガスエネルギーを加えるEUタクソノミー委託法令を制定したことに関連するもの。EUタクソノミー委託法令の立法プロセスの中で、原子力発電とガスエネルギーを、それ以外のタクソノミー適合プロジェクトとは分けて報告すべきとの要望があったため、今回のそのような方向でESAsがまとめた形。
【参考】【EU】欧州議会本会議、EUタクソノミーで原発と天然ガスを厳しい条件の中で容認。異議動議を否決(2022年7月7日)
【参考】【EU】欧州金融監督機構、SFDRのRTS運用で内容の詳細規定発表。金融機関向けルール(2022年6月5日)
具体的には、SFDRを実行するための欧州委員会の委託法令の金融商品テンプレートに、金融商品が原子力発電やガスエネルギーに関連する投資を意図しているか否かを明確にする「はい/いいえ」欄を追加。また「はい」の場合、それらの事業への投資割合のグラフ表示が必須となる。対象になるのは、EUタクソノミー適合の原子力発電及びガスエネルギーのみが対象で、非適合のものは開示義務はない。
EUタクソノミーに原子力発電及びガスエネルギーを含めたことについては、機関投資家から大きな反発がある。EUとしては、EUタクソノミーには含めつつも、実際には開示を分けることで、機関投資家が原子力発電とガスエネルギーを除外した投資ファンドを取り扱えるようにした形。最終的に機関投資家側に軍配が上がったといえる。
【参考】【EU】PRI、EUタクソノミーの天然ガス・原発許容に反発。「タクソノミーに頼れなくなる」(2022年2月4日)
【参照ページ】ESAS PROPOSE DISCLOSURES FOR FOSSIL GAS AND NUCLEAR ENERGY INVESTMENTS
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