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【EU】PRI、EUタクソノミーの天然ガス・原発許容に反発。「タクソノミーに頼れなくなる」

 国連責任投資原則(PRI)は2月4日、欧州委員会は2月2日に制定した天然ガス及び原子力エネルギーに関する「タクソノミー補完的委託法令」に関し声明を発表。今回、EUタクソノミーの中に天然ガスと原子力エネルギーを加えたことに反発した。

 PRIは今回、制定された同委託法令は、EUタクソノミーの信頼性と実行力を弱める可能性があると指摘。仮に欧州議会とEU理事会で異議申し立てができなかった場合、もはやEUタクソノミーは、サステナビリティを測るゴールドスタンダードではなくなると述べ、厳しい見方を示した。すでにPRI署名機関の多くは、EUタクソノミーに準拠する方針を示してきているが、今回の決定により、EUタクソノミーに頼れなくなるとの考えも披露した。さらに、政策立案者と市場参加者の間に亀裂を生じさせると批判した。

【参考】【EU】欧州委、EUタクソノミーで原子力と天然ガスに厳しい条件設定。今後、異議申立期間(2022年2月3日)

 PRIは、EUタクソノミーが不完全なものとなったことで、機関投資家は、EUタクソノミー以外の分類法を別途用意する必要があり、情報開示等でさらなる負担が増すと苦言を呈した。天然ガスと原子力エネルギーは、EUタクソノミーのもともとの精神であったパリ協定に沿った環境科学に基づく経済活動とパフォーマンスの評価から乖離したとの考えも表明。電力部門では1kWh当たり二酸化炭素排出量100gを閾値にしたことについても、技術的に中立な立場でサステナブルな経済活動を定義するという当初の目的から逸脱しているとした。

 さらに今回の委託法令では、天然ガスと原子力エネルギーのエクスポージャーの算定に関し、売上、設備投資(CAPEX)、事業運営費(OPEX)の3つ全てを用いることができるとしているが、売上は過去財務指標であり、プロジェクトが基準となるパフォーマンスレベルに到達する前に用いるべきではないと否定的な見方を示した。あくまで設備投資の対象プロジェクトが基準となるレベルに到達することを保証する場合のみ、適合性が認められるべきとした。

 その上で、PRIは、天然ガスをトランジション目的で位置づけたい場合には、EUタクソノミーではなく、別の形で定義する道があると提案。例えば、EUタクソノミー規則の第26条1項fの規定に基づき、閾値となる二酸化炭素排出量270g/kWh未満で稼働できるガス火力発電を含めれるようにする方法。また他にも、トランジションに関する立法を、EUタクソノミー規則とは別の形で制定する道もあるとした。

 PRIは、2019年からタクソノミー実務家グループを設立し、EUの投資家と非EUの投資家の間での相互理解や障壁突破のディスカッションを行ってきていた。2020年9月には、35件のケーススタディをまとめた報告書も発表し、政策立案者側にもタクソノミーの在り方を提言してきたことも強調。3月にも新たにフォローアップレポートを発行する予定。

 今回の声明は、署名機関への一斉メールでなされた。PRIは、EUタクソノミー規則に基づいて行動することを志向しておらず、むしろEUタクソノミーをあるべき姿に変えていこうとしている。

【参照ページ】PRI STATEMENT: EU SUSTAINABLE TAXONOMY CLIMATE DELEGATED ACT COVERING GAS AND NUCLEAR ENERGY

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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