世界100都市の市長らは4月9日、韓国ソウルで開催されたInternational Council for Local Environmental Initiatives(持続可能性をめざす自治体協議体、以下ICLEI)の総会において、都市のサステナビリティ向上を目指して各自治体による主体的な行動を呼びかける「ソウル宣言」を採択した。同宣言の背景には、世界のCO2排出量の都市に占める割合が大きいことから、ポスト2015年の気候変動に関する新たな世界的合意形成において都市が大きな役割を果たすべきだという認識がある。
今回の「ソウル宣言」ではICLEIに加盟する世界1,200の都市が将来の行動計画を立てる際の基礎となる下記9つの目標が掲げられた。
- 温室効果ガス排出削減による低炭素都市の創出
- レジリエントな都市づくり
- 資源効率、生産性の高い都市づくり
- エコ・モバイルな都市づくり
- スマートシティづくり
- 都市全体における生物多様性の促進
- 幸福、健康で市民が参加する都市づくり
- サステナブルな地域経済の構築
- 公共調達及びにサステナブルな都市圏の構築における協力
今回のソウル宣言は、今年の3月にパリで採択されたヨーロッパ30都市による宣言に続くものだ。パリでは、30都市が協力して環境に優しい公共調達に取り組み、年間約100億ユーロの環境配慮型製品を調達することで合意した。
国連によるUNFCC(国連気候変動枠組条約)は政府間の交渉がベースとなっているため、都市は正式には条約合意プロセスに参加していない。しかし実質的には気候変動において都市が果たすべき役割は大きい。そのため、今回のソウル宣言では各都市が宣言に基づく行動計画により気候変動への取り組みにおいて大きな進捗を見せ、今年の12月にパリで開催されるCOP21を前に各国政府に対して合意に向けたプレッシャーを与えることが期待されている。
同宣言ではスマート都市インフラ、スマート行政、地産地消型再生可能エネルギーの活用、ICT、サステナブルな建築、実績の測定・指標・標準化への投資などを推奨しており、持続可能な都市づくりに向けた将来像を提示している。
今や各国政府やグローバル企業だけではなく、世界の各地方自治体も互いに協働、連携して気候変動対策、サステナビリティ向上に向けた取り組みを積極的に展開している。パリで開催されるCOP21に向け、都市らによる取り組みが更に進展することを期待したい。
【参照リリース】100 Mayors adopt Seoul Declaration for sustainable cities
【参考サイト】ICLEI Seoul Declaration
【参考サイト】European cities pledge to boost climate action
【団体サイト】International Council for Local Environmental Initiatives
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