米消費財大手のP&Gは9月16日、2020年までに同社の施設からの温室効果ガス絶対排出量を2010年比で30%削減するという新たな目標を公表した。同目標はWWF(世界自然保護基金)とのパートナーシップに基づくものだ。同社は目標達成に向けた取り組みの一環として、気候変動対策のためのリーダー企業らによる連携を目的とするWWFのクライメート・セイバーズ・プログラムに参加する。
また、この排出量30%削減という目標数値は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)による最新の科学的研究結果が考慮されており、地球の気温上昇を2℃未満に抑えるという国際目標を実現する上で科学的に必要とされる削減数値を反映したものだ。
最近ではP&Gのように科学的根拠に基づいて温室効果ガス排出削減目標を設定する欧米企業が増えている。コカ・コーラ・エンタープライズは2020年までに2007年比で50%削減を掲げているほか、ゼネラル・ミルズは2025年までに2010年比で28%削減するとしている。
科学的根拠に基づく目標設定は、その目標数値を達成する必要性や重要性を従業員や投資家などのステークホルダーに説得力を持って伝える上でも有効だ。
2014年のCDP調査によれば、世界の大手500社のうち既に80%以上が排出量に関する目標を設定しているものの、それらの大部分はあくまで自社の事業をベースとする目標であり、地球の気温上昇を2℃未満に抑えるという目標を達成するうえで十分な設定とはなっていないのが現状だ。科学的根拠に基づく目標設定は、そうした企業と差別化し、自社の気候変動対策へのコミットメントを社内外に明確に示す何よりのツールとなる。
P&Gは今後省エネルギーを重視し、再生可能エネルギーの利用拡大により目標達成に取り組んでいくとしている。今回の目標設定は温室効果ガスの排出量を最小化するという同社の取り組みを前進させるための大きな一歩となる。
【参照リリース】P&G Announces New Goal to Reduce Greenhouse Gas Emissions by 30%
【企業サイト】P&G
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