英ビジネス・エネルギー・産業戦略省のクレール・ペリー・エネルギー・クリーン成長閣外相は3月7日、英国の全発電に占める洋上風力発電の割合を2030年までに30%以上とする目標を発表。実現に向けた政府・企業協働イニシアチブを発足させた。欧州、日本、韓国、台湾、米国への海外輸出も加速させる。
英国は、洋上風力発電の設置が世界一進んでおり、世界の設備容量の約半分のシェアを持つ。今回の発表により、洋上風力発電を英国の産業の一つとして明確に掲げた。洋上風力発電および関連メーカーの競争力をさらに高めるため、英国の産業界から最大2.5億ポンド(約360億円)の資金を集め、「洋上風力成長パートナーシップ(OWGP)」を組成。航空宇宙産業から自動車産業からもナレッジを集める。また、2030年以降に営業開始する洋上風力発電では、国産部品シェアを60%以上にする目標をも掲げた。そのため、中小企業に対する産業障壁も撤廃しにいく。洋上風力の業界団体の加盟企業には、毎年の設備投資額も報告させる。
海外輸出では、欧州、日本、韓国、台湾、米国と、洋上風力発電が今後成長すると見られる地域をターゲットとし、国際通商省とも連携し、輸出額を現状の5倍の26億ポンド(約3,800億円)ほどまで高める。今回の発表では、洋上風力発電のコスト削減も重視しており、2030年には政府助成金がなくとも競争力のある価格を実現しにいくという。さらに、インドネシア、ベトナム、フィリピン、パキスタン等の新たな洋上風力国への市場開放に向け400万ポンド(約5.8億円)の予算も組む。
洋上風力発電の発電割合が英国で30%を超えると、2030年までに再生可能エネルギー全体での発電割合が70%となり、化石燃料を用いた火力発電を超える。英国の洋上海域は、英国王室直下のクラウン・エステートと、スコットランド地域ではクラウン・エステート・スコットランドが管理しており、2019年には新たな洋上風力区域を設定する。
また雇用にも大きな効果があり、高度専門職雇用を現在の7,200人から2030年までに27,000人にまで拡大させる計画。また、同産業の女性労働者比率も現在の16%から2030年までに30%以上に上げる政策目標を掲げた。
英国政府は具体的な政策として、英国の洋上風力発電技術者が海外でのエネルギー企業でも雇用されやすくするための「洋上エネルギー・パスポート」の創設、大学等教育機関を通じた洋上風力発電全体での教育カリキュラムの開発、2019年後半より「見習い」従業員数の増加目標設定の3つを挙げた。同省は、現在18歳から24歳の英国民のうち約3分の2(370万人)は、環境経済関連の職に付きたいという最近の調査結果を踏まえ、理数系のSTEM教育を奨励し、高度専門職人材を増やしていく考えも示した。
(出所)UK
【参照ページ】Offshore wind energy revolution to provide a third of all UK electricity by 2030
【参照ページ】Green collar jobs in offshore wind set to triple by 2030
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