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【日本】環境省、TCFD実践ガイド第2版を発行。主にステップ毎の解説と事例を拡大

 環境省は3月30日、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)情報開示参考ガイダンス「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド~」を改訂し、第2版を発行した。初版は2019年3月に発行していた。

 初版から第2版への変更点は、(1)シナリオ分析を進める上でのポイントをステップ毎に解説、(2)2020年度支援企業12社の事例、(3)参考となる外部データ・ツール集等、の追加。特に初版では、事例紹介が中心だったため、今回は実践ガイドとなるように実施方法についても多くのページが割かれた。

 事例として追加されている企業は、環境省が実施している「TCFDに沿った気候リスク・機会のシナリオ分析支援事業」に応募し、環境省から支援対象として選定された企業から抽出されている。第2版では、金融セクターから初めて日本政策投資銀行が取り上げられた。TCFDは、専ら金融セクターでの分析を重視しているが、初版では金融セクターの事例がなく、大きな問題があった。今回は初めて銀行が取り上げられた形だが、より重要な年金基金、保険会社、運用会社での事例が依然としてない。

 非金融セクターでは、千代田化工建設、LIXILグループ、富士フイルムホールディングス、古河電気工業、カゴメ、カルビー、明治ホールディングス、京セラ、セブン&アイ・ホールディングス、ライオンの事例が新たに掲載された。

 外部データ・ツールについては、販促要素を避けたためか、海外でも普及している有料のツールは含めず、政府や国際機関、NGOが発表しているツールにとどめた。そのため実際には不足感があることは否めない。

 物理的リスクについては、事例集に登場する企業の中では被害額があまり大きくならないと想定されているものも多かった。特にサプライチェーンや工場操業の停止の被害がどれほどになるかは、今回の新型コロナウイルス・パンデミックでの資材調達の停止、工場操業の停止、売上減少の度合いが大きな参考になる。今回、事例集に採用された企業においても、改めて今回発生した財務影響を参考にし、もう一度算定し直したほうがよいだろう。

【参照ページ】「TCFDを活用した経営戦略立案のススメ~気候関連リスク・機会を織り込むシナリオ分析実践ガイド~」の改訂について

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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