三井住友フィナンシャルグループ(SMFG)は4月16日、「ESGに関するリスクの考え方について」とする声明を発表。石炭火力発電への「支援」を原則として実行しないとしつつ、SMFGは超々臨界圧(USC)型の石炭火力発電については禁止しない姿勢を表明した。前日に、みずほフィナンシャルグループは石炭火力発電への融資を「しない」としたのに対し、SMFGのESGリスクマネジメントの低さが際立つ形となった。現在の全国銀行協会(全銀協)の会長は、髙島誠・三井住友銀行頭取が務める。
【参考】【日本】みずほFG、メガバンク初の石炭火力新設投融資禁止表明。MUFG、SMFGとの比較含め解説(2020年4月15日)
今回発表したのポリシーは、三井住友銀行、SMBC日興証券、三井住友ファイナンス&リース、SMBC信託銀行の4子会社に適用する。同社には、運用子会社として三井住友DSアセットマネジメントがあるが、今回は対象としていない。
石炭火力発電については、USC等の環境に配慮した技術を有する案件、及び今回のポリシー改定前から実施している案件は継続しつつ、「原則として実施しない」とした。また、炭素回収・貯蔵(CCS)の技術開発は支援するとした。このことから、今後、CCSを導入し二酸化炭素排出量の削減を目指す石炭火力発電については投融資を継続すると解釈することができる。
また水力発電については、生物多様性や強制移住等での「緩和策が行われているか注視」。石油・ガスについては、オイルサンド、シェールガス、シェールオイル、北極圏石油・ガス開発、石油・ガス。パイプラインと、海外銀行大手でも最近投融資を禁止するセクターに触れつつも、今回発表したポリシーは当該案件については「環境社会リスク評価の実施」に留まった。
炭鉱採掘、森林破壊を伴う案件では「エクエーター原則」を確認することを伝えるに留まった。たばこメーカーについては、「喫煙は肺がんや呼吸機能障害などの健康被害を引き起こす可能性がある」としつつ、セクタポリシーでは「健康被害などの特有の課題への対応を確認」とし、よく方針の内容がわからない内容となった。
ラムサール条約指定湿地とユネスコ指定世界自然遺産に著しく負の影響を与えるものについては新規融資を禁止。パーム油についてもRSPO認証等の取得を推進するとした。だが、これらの案件は、すでに他のメガバンクが宣言している内容で、対応の遅さを逆に浮かび上がらせるものとなった。
今回SMFGが発表したセクターは、いずれもESG評価機関が中止しているセクターであり、表面的にESGスコアを上げることを強く意識し形跡が伺える。だが、実態としては、他社と比べリスク認識の低さが目立つ結果となり、今後、環境NGO等から大きな批判を集めていきそうだ。
【参照ページ】ESGに関するリスクの考え方について
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