フィリピン財閥アヤラ・コーポレーションの発電子会社ACエナジー・フィリピンは4月20日、2030年までに石炭火力発電事業から完全撤退すると発表した。フィリピンでの現在の電源構成は約50%が石炭火力発電。今回大手財閥のアヤラ・コーポレーションが動いたことで、フィリピンにも脱石炭火力の波が押し寄せてきていることがわかった。
同社は2018年、2025年までに石炭火力発電事業の権益約10億米ドルを売却し、再生可能エネルギー発電の権益を5GW以上確保するとともに発電総量に占める再生可能エネルギー発電の割合を50%以上に引き上げると発表。同社は2019年、フィリピン・ミンダナオ島の石炭火力発電所「GNPower Kauswagan(設備容量552MW)」の保有全権益をProverbs 16子会社のPower Partnersに売却。同年、ルソン島の石炭火力発電所「GNPower Mariveles(同632MW)」と「GNPower Dinginin(同1,332MW、2020年完成予定)」を運営するAA Thermalの保有権益の一部もAboitiz Powerに売却した。同じくルソン島には、同社、丸紅、Phinma Energyの3者合弁で設立した「South Luzon Thermal Energy Corp(SLTEC)」も、244MWの石炭火力発電所を持っている。Phinma Energyは、2019年にACエナジーの傘下に入っており、この権益分も売却対象となる。
一方同社は、フィリピン、ベトナム、インドネシアで、風力発電、地熱発電、太陽光発電、バイオマス発電等も手掛ける。設備容量は地熱発電だけで670MW、太陽光発電430MW、風力発電300MW。また、再生可能エネルギー発電所建設UPC Renewablesの権益50%を保有しており、2020年2月には西ネグロス州の太陽光発電45MWの過半数権益を買収。オーストラリアのニューサウスウェールズ州でも太陽光発電400MW、風力発電800MWの建設プロジェクトが進行中。
同社は今回、再生可能エネルギーへの投資に集中することをあらためて表明。今後、石炭火力発電所に投資しない。一方、ガス火力発電、ディーゼル(石油)火力発電については、再生可能エネルギーを補完するとし、継続する考えを示した。
ACエナジーは、2019年にグリーンボンドを発行し、気候債券イニシアチブ(CBI)認証も取得している。
【参照ページ】Philippines’ Oldest Conglomerate to Get Out of Coal by 2030
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