EUの欧州環境庁(EEA)は6月17日、欧州の有機廃棄物の管理状況と機会をまとめたレポート「Bio-waste in Europe — turning challenges into opportunities」を発表。欧州のサーキュラーエコノミー推進のため、有機廃棄物の排出量削減とリサイクルの促進を求めた。
有機廃棄物は、EU圏の都市廃棄物の34%を占め、2017年には8,600万tとなった。そのうち64%は食品廃棄物。EU域内において食料は、生産量の5分の1が廃棄になっており、バリューチェーン全体でEU市民あたり年間173kgが廃棄されている。
廃棄物の分別回収の水準については、欧州の各都市で大きく異なっていると分析。多くの場合、分別は適切に行われておらず、本来、高品質の肥料や土壌改良剤、バイオガスとして利用可能な有機廃棄物を活かしきれていないと指摘した。一方、分別回収システムの導入には、長く複雑なプロセスが必要であり、プラスチック混入に伴う有機廃棄物の汚染も懸念される。ごみ処理有料化(pay-as-you-throwスキーム)によるインセンティブ創出や、EU市民の認識醸成の活動、目標設定等が必要だとした。
同レポートでは、リサイクルの重要性を認めつつも、それ以上に食品廃棄物の防止が重要であり、食料生産、加工、輸送における環境負荷を大きく低減させると言及。廃棄物防止に向けた活動の効果測定は、現状では困難であるが、将来的には整合性のあるデータに基づき、欧州内の政策によるインパクトの比較が可能になるとの見通しを示した。
有機廃棄物を循環させるための手法では、目下、堆肥化が主流で、嫌気性消化が増加しているという。堆肥化と嫌気性消化の市場形成には、両者により生成される肥料や土壌改良剤、バイオガスの品質管理が重要とした。同レポートによると、堆肥化の品質基準を策定中もしくは策定済みのEU加盟国は24ヶ国。そのうち監査スキームまでを策定済みの国は12ヶ国に留まっている。
またビニール袋に代わり、堆肥化可能や生分解性と表示されている袋が増えてきているが、その戦略はEU域内でも国毎に異なると指摘。生分解性表示があっても、産業用の場合、家庭や自然界での条件で必ずしも生分解するわけではなく、明確かつ一貫性のあるラベリングを求めた。
さらに、食品加工や農業での有機廃棄物からのバイオ燃料等の生成については、多くの課題があるものの、新たな機会として捉え、研究者や企業、政府が協働し、取り組むべきとした。
【参照ページ】Reducing and recycling food and garden waste to boost Europe's circular economy
【参照ページ】Bio-waste in Europe — turning challenges into opportunities
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