世界経済フォーラム(WEF)は7月15日、生態系や生物多様性を考慮し、自然環境にプラスの影響を与える経済を実現するための提言レポートを発表した。特に雇用影響としては、3.95億人の新規雇用を創出するとし、大きな雇用効果があることを示した。
今回のレポートは、WEFが作成している「New Nature Economy」シリーズの第2弾。第1弾は、世界経済44兆米ドルが生態系サービスに依存していることを示した1月レポート「The New Nature Economy Report」。第2弾のレポート「Future of Nature and Business Report」では、事業機会や雇用創出に焦点を当てた。豪コンサルティングAlphaBetaが協力した。
【参考】【国際】世界経済フォーラム、世界経済44兆米ドルが生態系サービスに依存。自然保護必要性で警鐘(2020年1月30日)
同レポートでは、自然環境に大きく依存している「食品」「インフラ・不動産」「エネルギー・資源」の3つのセクターに注目し、今後起こしていくべき変化を整理した。
食品業界では、世界のGDP10兆米ドルと世界の労働者の40%を支えている重要産業。さらに自然環境にプラスの影響を与える農林水産業を目指すことで、2030年までに新規雇用が1.91億人、利益創出効果も3.6兆米ドルあると試算した。例えば、現在、たった12種の植物、5種の動物に75%を依存している食品業界が食物の多様化を進めることや、精密農業、サーキュラーエコノミー化等を具体的なアクションとしてあげた。
インフラ・不動産では、スマートビルディングや、インフラのパフォーマンスを上げるスマートセンサー、廃棄物マネジメントにより、2030年までに1.17億人の雇用と利益創出効果が3兆米ドルあるとした。
エネルギー・資源では、採掘現場での資源採掘率の上昇や、自動車業界のサーキュラーエコノミー化、再生可能エネルギーにより、2030年までに、8,700万人分の雇用と、3.5兆米ドルの利益創出効果があると示した。
一方で、これらの新産業を作り出すためには、年間で2.7兆米ドルの投融資が必要と弾き出した。その上で新型コロナウイルス・パンデミックでの各国の経済刺激策の合計は2.2兆米ドルとなることを示し、毎年2.7兆米ドルの投融資は不可能ではないと言及した。
【参照ページ】395 Million New Jobs by 2030 if Businesses Prioritize Nature, Says World Economic Forum
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