東京大学生産技術研究所の酒井雄也准教授は5月25日、野菜や果物など廃棄食材を乾燥後に粉砕し、適量の水を加えて熱圧縮成形することで、建材としても十分な強度を有する素材製造の技術開発に世界で初めて成功したと発表した。食品廃棄物を建材として活用できる画期的な研究成果が生まれた。
同研究では、食品廃棄物を、フリーズドライ、粉砕した後に、様々な条件で加熱成形を実施した結果、完全植物由来の新素材に十分な強度を付与することに成功した。熱圧縮成形における最適な温度は100℃前後、圧力は20MPa前後で、原料によって異なるという。現在、高い強度を発現するメカニズムについては検討中。熱圧縮成形において熱により食材中の糖類が軟化し、圧力により糖類が流動して間隙を埋めていると予想される。
今回の研究では。原料によっては、一般的なコンクリートの曲げ強度である5MPaの4倍にもなる18MPaの曲げ強度も達成。木材に使われる耐水処理を加えることで、耐水性が求められる環境での使用も可能となる。
さらに、製造条件を調整することで、原料の香り、質感の維持もしくは除去、色の調整等を行い、粉末にした廃棄野菜や果物に、塩や砂糖、コンソメパウダーなどの調味料を加えることで、強度を維持したまま味を向上させられることも確認されている。これにより、建設材料程度の強度を有しつつ、使用後には食用に供することを目的とした素材としての活用も視野に入る。
食品廃棄物は、可食部の食品ロスが年間600万t、不可食部で1,930万tが排出されており、約5割が肥料化または飼料化、残り4割が焼却または埋立されている。肥料化・飼料化でも、窒素過多が問題となっており、他の活用方法が必要となっている。
【参照ページ】【記者発表】廃棄食材から完全植物性の新素材開発に成功
【画像】東京大学
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