世界経済フォーラム(WEF)は10月14日、化学業界を対象とする「低炭素排出技術(LCET)イニシアチブ」が、2023年末までにイノベーション促進のための独立法人を創設すると発表した。準備機関(PDC)には、日本企業1社を含む10社が加盟した。
低炭素排出技術(LCET)イニシアチブは、化学業界の知見共有プラットフォームとして2019年に設立。加盟企業は、BASF、ダウ、DSM、ソルベイ、エア・リキード、サウジ基礎産業公社(SABIC)、コベストロ、クラリアント、シブール・ホールディング、三菱ケミカルホールディングス。世界経済フォーラム(WEF)、国際サステナビリティ企業イニシアチブWe Mean Business、米ロッキーマウンテン研究所、英環境シンクタンクNGOのEnergy Transitions Commission(ETC)の4者が運営する「ミッション・ポッシブル・パートナーシップ(MPP)」からの支援も受けている。
【参考】【国際】重工業2050年脱炭素化「ミッション・ポッシブル・パートナーシップ」発足。世界経済フォーラムの活動から発展(2021年1月28日)
化学素材は、世界の製品の95%以上で不可欠。また、化学業界は現在、世界の二酸化炭素排出量の約5%を占めているが、2050年には世界の化学製品需要は4倍になるとも予想されている。
LCETは、2050年までに化学業界でのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)を実現するためのイノベーションの優先順位を定め、知識を共有。さらに投資リスクを軽減するために、ジョイントベンチャーやスタートアップ企業との提携も促進する。例えば、大規模プロジェクトへの共同投資、知的財産権の協働スキーム、政策アドボカシー、低炭素製品の共同マーケティング、インフラ開発等がある。
LECTの技術チームは、すでに、カーボンニュートラル型の製造プロセス技術に関する具体的な方向性を特定している。まず実践する2つの分野も決めており、蒸気分解によるオレフィン製造と、メタンや水から抽出した水素でのアンモニア製造の2つで大きなイノベーションを起こしに行く。最初のプログラムとしては、廃プラスチック処理のための新たな研究開発拠点の建設や、BASFとSABICが技術提供者であるリンデと協力し、世界初の電気加熱式蒸気分解炉を商業的に試験運用するプロジェクト等が進行中。
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