気候変動対応を企業に求める欧州機関投資家団体IIGCCと、機関投資家大手120機関以上が参加する低炭素経済推進イニシアチブ「Transition Pathway Initiative(TPI)」は7月28日、銀行に対するネットゼロ評価指標案を発行した。2022年末に最終的にとりまとめ、公表する考え。
銀行のカーボンニュートラルでは、銀行世界大手43社が2021年4月、2050年までの投融資ポートフォリオのカーボンニュートラル(二酸化炭素ネット排出量ゼロ)にコミットする銀行のイニシアチブ「Net-Zero Banking Alliance(NZBA)」を発足。その直前にIIGCCは、銀行向けのカーボンニュートラル実現に関する期待をまとめた報告書を発表していた。今回の指標は、期待を定量指標として具体化したもの。
今回の報告書は、「カーボンニュートラルのコミットメント」「短期・中期目標」「戦略」「ロビー活動・アドボカシー」「ガバナンス」「監査・会計」の6つの評価観点を提示。さらに具体的に大手27社の評価を実施した。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループのメガバンク3社も評価対象となった。評価に活用されたデータは、2月25日までに公表されたもの。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)は、4月にNZBAの進捗報告書を発行しているが、間に合わなかった。
6つの観点で27社の平均スコアでは、ガバナンスが最も高い評価だった。ガバナンスでは、気候変動戦略に関するガバナンス構造と報酬設計が分析対象となった。実際に100点満点で50点を取得している銀行が多く、日本のメガバンク3社も全て50点だった。
一方、ロビー活動・アドボカシーは、モントリオール銀行が27点だった以外は、全て0点。特に、直接的なロビー活動でパリ協定の目標に沿ったもののみ行うことを宣言する方針発表がゼロだったことに苦言を呈した。
また、全体として、カーボンニュートラルを加速させる融資条件を確立するには至っていないとの考えも披露した。
【参照ページ】IIGCC and TPI publish investor-led framework of pilot indicators to assess banks on the transition to net zero
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