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【日本】GPIF、気候変動レポート2022年版発表。日本の政府と企業の評価伸び悩み

 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)は9月30日、同機関として2回目となる「GPIFポートフォリオの気候変動リスク・機会分析」レポートを発行した。GPIFはの気候変動レポートは今年で3年目。

 今回のレポート作成では、MMSCI、FTSE Russell、ブルームバーグ・ニュー・エナジー・ファイナンス(BNEF)に委託。各社が協力してレポートしてまとめた。S&P GlobalグループのTrucostのデータも引き続き活用した。

 分析では、「カーボンフットプリントの測定及び要因分析」「官民の動向分析」「気候Value at Risk(CVaR)によるリスクと機会についてのシナリオ分析」等で、様々な角度からポートフォリオを分析した。

 アセットクラス別のカーボンフットプリントの総量では、外国株式が2018年のピークに年々大きく減少。国内株式も緩やかに減少していることが確認された。社債では、国内社債は算出開始時点の2016年から一貫して減少。外国社債は2021年に大きく下がった。カーボンフットプリントは、データ収集の都合上、スコープ1と2に限定されているが、将来的にはスコープ3まで拡大したい考えの模様。

 カーボンフットプリントの総量減少の要因では、いずれの4つのアセットクラスとも、排出量そのものが減少しているが、国内社債を除いては、保有率が減少していることも大きい。

 GPIFのポートフォリオの温暖化ポテンシャルでは、国内株式で2.7℃、国内債券(社債)で2.4℃、外国株式で2.7℃、外国債券(社債)で2.7℃。いずれも前年から大きく下がったが、いずれのアセットクラスでも2℃を大幅に上回る状態のままだった。

 主要国の政策ランキングでは、BNEFのデータを紹介。ドイツが首位で、以下、フランス、英国、イタリア、韓国、カナダ、日本、中国、米国の順。日本は、サーキュラーエコノミー以外で大きく政策スコアが低かった。高得点のサーキュラーエコノミーでも韓国に負けた。企業評価では、FTSE RusselのMQスコアを紹介。国際比較では、日本企業は、欧米企業と大きな差がつけられており、2021年にはついにアジア太平洋企業に追いつかれた。

 不動産ポートフォリオでの物理的リスク・エクスポージャーでは、沿岸洪水、河川洪水、台風、猛暑、極寒の5つで評価し、「高い」が4%、「中程度」が24%にとどまり、影響は限定的という結果となった。但し、データ制約や、延べ床面積軸と資産価格軸で算出結果がかわるなど、分析手法にも課題がみえた。

 CVaR分析では、NGFS の気候シナリオ別を採用。株式と社債が概ね反比例していた。パフォーマンスだけをみれば、「無秩序なネットゼロ達成(1.5℃)」が最もパフォーマンスが高いという結果となった。

 GPIFが今回発表したレポートは、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインを意識したものとなっているが、シナリオ分析に焦点を当てたものとなっており、ガバナンス、リスクマネジメント体制、マネジメント目標等についての内容は盛り込まれていない。

【参照ページ】「2021 年度 GPIF ポートフォリオの気候変動リスク・機会分析」を刊⾏しました

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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