出光興産は2月3日、100%出資の出光オーストラリアが保有するオーストラリア・クイーンズランド州のエンシャム石炭鉱山の権益85%全てを、現地のSungelaに譲渡することで合意したと発表した。エンシャム石炭鉱山は、1993年から一般炭採掘を開始し、年間430万tの生産実績を誇る。
同社は、2022年11月の中期経営計画の中で、化石燃料資産の圧縮・既存事業の収益最大化による資本効率化とカーボンニュートラルに資する新規事業の拡大を宣言。今回のその一環。
【参考】【日本】出光興産、2030年度に化石燃料収益比率を50%以下へ。新事業の成功がカギ(2022年11月28日)
Sungelaは、アングロ・アメリカンの南アフリカ一般炭子会社として分立独立したThungelaが権益75%、オーストラリア資源大手Mayfairと、スイスのヘッジファンドAudley Capitalのオーストラリア子会社Audleyが各12.5%を保有する形で設立予定。エンシャム石炭鉱山の残りの権益15%は、オーストラリアのBowen Investmentが保有している。
同社は今回、今後は、石炭の代替燃料として、一般に普及している木質ペレットなどを半炭化した「出光グリーンエナジーペレット」の事業化を進めると言及した。
また同社は2月2日、東レとの間で、バイオマスナフサを原料としたバイオマスプラスチックのサプライチェーンを構築し、バイオマスナフサ由来のスチレンモノマー(SM)の製造と、バイオマスSMを原料としたアクリロニトリルブタジエンスチレンを製造することで合意。SMメーカーである出光興産が、マスバランス方式で、バイオマスSMを製造し、東レが調達して、市原市の東レ千葉工場でバイオマスABS樹脂を製造する。製造開始は2023年10月を予定。日本国内でのバイオマスABS樹脂製造は今回が初。
さらに1月31日には、出光興産とJ-オイルミルズは、バイオ原料確保によるSAF製造・プラスチックリサイクル・バイオ化学品活用等のバイオマス事業の構築に関する検討に共同で合意。食料と競合しない非可食油原料樹の持続可能な植林と搾油ノウハウの活用を通じた植物原料の確保によるSAFの製造・サプライチェーン構築を狙う。加えて、同植林によるカーボンクレジット創出や、使用済みプラスチックのリサイクル品やバイオナフサを用いたバイオ化学品の梱包材への使用等も検討する。
【参照ページ】豪州 エンシャム石炭鉱山の権益譲渡について
【参照ページ】出光興産と東レ、国内初となるバイオマスABS樹脂のサプライチェーンを構築
【参照ページ】出光興産とJ-オイルミルズによるバイオマス事業構築に関する共同検討について ~「油(あぶら)」を接点とした共創により、サーキュラーエコノミーを実現~
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