EU上院の役割を担うEU加盟国閣僚級のEU理事会とEU下院の役割を担う欧州議会は12月5日、改正エコデザイン規則案で政治的合意に達した。今後、双方での立法手続きに入る。成立すると2009年の制定依頼の大規模改正となる。
【参考】【EU】欧州委、「サステナブル製品イニシアチブ」発表。消費者訴求や製品規格のルール刷新へ(2022年4月2日)
エコデザイン規則の改正では、現行法の製品対象を大きく拡大し、ほぼすべての家電、車載部品、電子機器、家具、住宅設備、アパレル製品、化学製品等に適用される内容となっている。但し、自動車に関しては、別法で規定するため、同規則からは除外した。また国家安全保障に影響を及ぼす製品も条約に従って対象外となる。
エコデザイン規則の対象要件も、現行法の省エネ・省資源だけでなく、耐久性、再利用可能性、リサイクル可能性、改修可能性、修理可能性、メンテンナンスの容易性を含み、サーキュラーエコノミー全般を意識したものとなった。欧州委員会は、後に必要と判断した製品や要件については委託法令によって同法に内容を追加できるようにもなる。当該委託法令の適用は、制定から18ヶ月後に発効することが原則だが、正当な理由がある場合は、欧州委員会は前倒しすることができる。
また改正エコデザイン規則の柱の一つである「デジタル製品パスポート(DPP)」の導入についても、EU理事会と欧州議会は合意した。製品の環境サステナビリティ関する情報を、原材料採掘から最終製品、さらには最終製品のリサイクルまで、情報をトラッキングできるようにする。EU加盟国は公共調達契約においても、環境サステナビリティに関する要件を課すことができる。
さらに同規則では、欧州委員会に対し、必要に応じて売れ残り商品の廃棄条件を課す権限も付与する。まず、アパレル製品の廃棄を禁止し、規則の施行から2年後に適用される。但し、中小・零細企業は同禁止規定を免除し、中堅企業は6年間に限定して免除される。欧州委員会は、委託法令で、他の製品分野に廃棄禁止ルールを課す権限も持つようになる。
エコデザイン規則の違反に対しては、欧州委員会が大まかな指針を定めるものの、個別の罰則規定は各加盟国が定める。また、Eコマースで販売されている製品についてのエコデザイン規則の遵守状況に関しては、EUのデジタルサービス法(DSA)と整合する形でEU加盟国当局が監督していく。
同規則により、市場での環境サステナビリティの改善が進んでいるかどうかについては、欧州委員会が、ライフサイクル全体でのカーボンフットプリントや、他の環境サステナビリティ項目を基に欧州委員会が評価する責務を負う。
【参照ページ】Products fit for the green transition: Council and Parliament conclude a provisional agreement on the Ecodesign regulation
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