国連責任投資原則(PRI)とCFA協会は3月18日、欧州・中東・アフリカ(EMEA)8カ国・地域でのESGインテグレーションの動向を分析した報告書を発行した。両者は2018年9月にも、共同で、ESGインテグレーションの実践ガイダンスとベストプラクティスをまとめた報告書を出しており、今回のものが第3弾。
【参考】【国際】PRI、ESGインテグレーション・フレームワークをまとめたレポート発表。30の事例紹介も(2018年9月22日)
今回の調査対象は、英国、フランス、ドイツ、オランダ、スイス、ロシア、南アフリカ、中東湾岸地域。CFA会員11,000人にアンケート調査を実施するとともに、インタビューやワークショップでも声を集めた。
今回調査の発見としては、まず、ESGインテグレーションに対する「特効薬」はなく、いくつもの手法が実践されていた。ESGの中では、ガバナンスが最も活用されており、環境ファクターは存在感が上がっているものの、依然として扱いは低かった。アセットクラスでは、株式投資の方が、債券投資に比べ、圧倒的にESGインテグレーションが進んでいた。またファンドマネージャーやアナリストは、ESGを投資プロセスに組み込むようになってきているが、ESGデータを基に投資モデルを変えたところは稀だった。
ESGインテグレーションを進める動機は、リスクマネジメントと顧客の要求。ESGインテグレーションの障壁については、依然としてESG課題への理解や比較可能なデータ不足との声が上がった。多くのワークショップ参加者は、ESGというラベルの付いた投資信託やETF(上場投資信託)は、単なる営業目的のネーミングが多く、本当にESG投資をしているかに懸念があると答えた。
2019年後半には、アジア太平洋地域で同様の分析を実施した報告書を発行する予定。
【参照ページ】New report highlights best practices in ESG integration across EMEA
【参照ページ】ESG integration in Europe, the Middle East, and Africa: Markets, practices and data
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