気候変動対応を企業に求める欧州機関投資家団体IIGCCは12月6日、機関投資家大手44機関が、EU加盟国の国家元首及び政府に対し、2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにする「カーボンニュートラル」を掲げるEU法を、EU理事会で通過させるよう共同書簡を送付した。44機関の運用資産総額合計は6兆ユーロ(約720兆円)。
EU行政府の役割を担う欧州委員会は2018年12月、2050年までに二酸化炭素ネット排出量をゼロにする方針を採択。すでにEU下院の役割を担う欧州議会を可決しているが、EU上院の役割を担い加盟国の閣僚で構成するEU理事会は、ポーランド、ハンガリー、チェコの3ヵ国が反対しており、可決に至っていない。
【参考】【EU】欧州委、2050年までにCO2純排出量ゼロの長期戦略方針採択。2019年欧州理事会での合意視野(2018年12月3日)
【参考】【EU】欧州議会、「気候非常事態宣言」を賛成多数で採択。気温上昇1.5℃へのコミットを欧州委に強く要請(2019年12月4日)
共同書簡は、国際社会が気候変動緩和へのアクションを加速しなければ、気温は4℃上昇し、今後80年間で23兆米ドル(約2,530兆円)の経済損失となると警告。経済への悪影響は、2008年のリーマン・ショックの3倍から4倍になると危機感を示した。反対に、アクションを加速させれば、2030年までに26兆米ドル(2,860兆円)の経済効果をもたらすとした。
また共同書簡は、カーボンニュートラル目標を掲げれば2050年までに毎年2%のGDP押し上げ効果があり、210万人の雇用創出効果があるとした欧州委員会の分析に言及。また、イノベーションを促進する効果があるとこと強調した。
今回の共同書簡に参加したのは、AP2、APG、PGGM、ATP、PKA、英地方公務員年金(LGPS Central)、英環境庁年金基金、アリアンツ・グローバル・インベスターズ、ハーミーズ・インベストメント・マネジメント、リーガル&ゼネラル・インベストメント・マネジメント、アバディーン・スタンダード・インベストメンツ、MN、マーサー、エイゴン等。
【参照ページ】Major European investors call on EU leaders to sign off climate neutral target
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