韓国の文在寅大統領は10月28日、国会での演説の中で、2050年までに二酸化炭素ネット排出量ゼロ(カーボンニュートラル)を実現する政策を発表した。日本の菅義偉首相も10月26日に同様の宣言をしており、韓国も続く形となった。中国も習近平国家主席が9月、国連総会で2060年までのカーボンニュートラルを宣言しており、東アジアの3ヶ国が同様にカーボンニョートラルへと産業変革に向かう。
【参考】【日本】菅首相、2050年カーボンニュートラルを日本政府として初めて表明。海外からも歓迎(2020年10月27日)
【参考】【中国】習近平主席、国連総会で2060年カーボンニュートラル目標を宣言。2030年までにピークアウト(2020年9月24日)
文在寅大統領は、9月8日の時点で、2050年までにカーボンニュートラルを実現するという政策を打ち出しており、今回国会の場であらためてはっきりと宣言した背景には、日本政府を意識しているとみられる。また、9月8日に、脱原発かつ2034年までに石炭火力30基廃止を方向性として示しており、今回の演説では、石炭火力発電を再生可能エネルギーに転換するために、2021年に2.4兆ウォン(約2,200億円)を支出する考えを見せた。
【参考】【韓国】文在寅大統領、「脱原発かつ2034年までに石炭火力30基廃止」。2050年カーボンニュートラル表明(2020年9月12日)
また同日、サムスン物産の取締役会も、石炭火力発電に関する一切の事業を禁止すると発表。これには投資、建設、貿易が全て含まれ、さらに進行中のプロジェクトについても、段階的に撤退・売却することを決めた。理由として、気候変動リスクと、同社のサステナブル・マネジメント方針への遵守を挙げた。今後は、液化天然ガス(LNG)、LNGを原料とするガスタービンコンバインドサイクル発電、再生可能エネルギー、蓄電バッテリーを重視する。
韓国では、6月にLG化学が2050年までのカーボンニュートラル宣言と実現までのロードマップを発表。2050年の二酸化炭素排出量を予測値の年間3,000万tから2019年レベルの1,000万tに抑えつつ、炭素回収・利用・貯蔵(CCUS)技術も導入。プラスチック廃棄物やバッテリー廃棄物の再利用やリサイクルにも乗り出し、新たな事業所では米認証機関ULの埋立廃棄物ゼロ認証を義務化する方針も打ち出している。
9月には、金融大手KBフィナンシャル・グループも、石炭火力発電新設へのファイナンスを禁止している。
【参考】【韓国】KBフィナンシャル・グループ、石炭火力新設へのファイナンス禁止。気候変動対策(2020年10月4日)
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