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【国際】大手各社、再生プラスチックの活用で企業提携が加速。コスト削減に向け競争激化

 石油化学の世界大手で、プラスチックのリサイクル事業強化に向けたアクションが急増している。ケミカルリサイクルとマテリアルリサイクルの両面で製品開発が進んでおり、特にベンチャー企業との提携も大きなカギとなっている。

 石油化学世界大手サウジ基礎産業公社(SABIC)は12月11日、第二世代バイオ素材である認証再生ポリプロピレン(PP)「TRUCIRCLE」が、ドイツ化粧品大手バイヤスドルフの包装・容器に採用されたと発表した。2021年より化石燃料由来のバージンポリプロピレンに替わり、活用される。

 バイヤスドルフは、2025年までに包装・容器を100%詰め替え可能、再利用可能にする他、包装・容器での再生プラスチック利用を30%に増加、化石燃料の使用を2019年比50%削減等の目標を掲げている。今回の取り組みもその一環。

 ポリプロピレン(PP)やポリエチレン(PE)を含むSABICの認証再生可能ポリマーは、動物由来やパーム油由来でなく、人類の食品や家畜飼料とも直接競合しない製紙業界の木材パルプ化プロセスで排出されるトール油廃棄物等から調達。「第2世代」の再生可能原料とされている。

 SABICの再生可能ポリマーは、国際持続可能性カーボン認証(ISCC)のスキームに準拠したマスバランスアプローチを採用。原料から最終製品までのサプライチェーン全体にわたるトレーサビリティも担保する。

 フィンランド石油化学大手ネステは1月4日、米オハイオ州のケミカルリサイクルAlterra Energyにマイナー出資すると発表。プラスチックバリューチェーンの完全な循環型への転換を目指す欧州市場に重点を置き、Alterra Energy独自の熱化学液化技術の商用化を目指す。

 Alterra Energyの技術では、異なる種類のプラスチックを原油レベルの液化原料にまで還元するため、生産する誘導品はほぼ自由。ネステの精製技術と組み合わせることで、企業の様々な需要に応じた製品生産が可能となっている。現在Alterra Energyは、オハイオ州・アクロンにリサイクル工場を持っている。

 一方、マテリアルリサイクルでは、ブラジル石油化学大手ブラスケムは、ドイツ固形廃棄・リサイクル技術開発Valorenと協働し、6,700万ブラジルレアル(約13億円)を投じて、プラスチック廃棄物のリサイクル工場を新たに建設すると発表した。

 ブラスケムは2020年11月、2050年カーボンニュートラルを目標として設定。2030年までに二酸化炭素排出量15%削減するため、サーキュラーエコノミー型の製品を拡大する。具体的には、再生素材を含有する熱可塑性樹脂を2025年までに30万t、2030年までに100万tにまで増やす。

 今回建設するリサイクル工場は、ブラジル・インディアツーバに建設。リサイクルする廃棄物は、大半が家庭からの廃棄物。食品や化粧品等の包装・容器の硬質ポリエチレン(PE)及びポリプロピレン(PP)から、高品質の再生プラスチックを生産する。また工場では、廃水を再生水として活用する水循環インフラも備える。

 欧州では、食品包装印刷フィルムのマテリアルリサイクルにも成功している。Brückner Maschinenbau、Constantia Flexibles、Erema、Kiefel、PackSys Global、Profol、hubergroup等が参画する業界イニシアチブPrintCYCは12月2日、食品包装印刷フィルムの廃棄物をマテリアルリサイクルし、再度食品包装印刷フィルムを生産するプロジェクトに成功したと発表。コストも面でも優位性があるという。

 同プロジェクトでは、第1フェーズで、食品包装印刷フィルムに多用される二軸延伸ポリプロピレン(BOPP)をマテリアルリサイクルし、再生素材を50%含む食品包装印刷フィルムの生産に成功。しかし、品質が上がり切らなかったため、第2フェーズでは、フィルムインクを、ニトロセルロースからポリウレタンに変更。結果、BOPPと低密度ポリエチレン(LDPE)の双方で、再生素材の品質を高くすることに成功した。ライフサイクルアセスメントをしても、全体での二酸化炭素排出量を削減できることも確認された。

 インドの自動車部品大手マザーソンも11月9日、イスラエルの廃棄物リサイクルUBQ Materialsと提携し、リサイクル素材を含有する自動車部品の開発に乗り出した。UBQ Materialsの技術では、プラスチック、紙、食品廃棄物、木質素材、おむつなどの分別されていない廃棄物を、分別しないまま分子レベルに化学分解し、高品質の熱可塑性樹脂を生産する技術を持っている。インドでは、廃棄物の分別がほぼされていないため、非分別型のリサイクルは大きな強みを発揮する。UBQ Materialsの再生素材は、すでに二酸化炭素排出量をマイナスにする「ネガティブ・エミッション」を実現しており、コスト競争力もあるという。

【参照ページ】SABIC COLLABORATES WITH BEIERSDORF TO IMPLEMENT SUSTAINABLE COSMETICS PACKAGING USING CERTIFIED RENEWABLE POLYPROPYLENE
【参照ページ】Braskem invests R$67 million in recycling line with German technology
【参照ページ】Neste acquires minority stake in Alterra Energy; companies partnering to commercialize Alterra’s waste plastic liquefaction technology in Europe
【参照ページ】PrintCYC releases ‘remarkable results’ of printed plastic film research
【参照ページ】Motherson and UBQ Materials are Developing Car Parts of the Future

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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