英機関投資家の集団的エンゲージメント・イニシアチブInvestor Forumは1月12日、2020年の活動報告書を発表した。ESG関連で11社に集団的エンゲージメントを実施し、「Say on Climate」の動きにも賛成する意思を表明した。
Investor Forumは、2010年に英国でスチュワードシップ・コードが制定されたことの影響もあり、2014年に英国の機関投資家が集団的エンゲージメントを実施するイニシアチブとして発足。現在、英国の機関投資家が37、海外の機関投資家が15加盟しており、合計52。運用資産総額は20兆ポンド(約2,800兆円)。英上場企業への投資額だけでも6,950ポンド(約99兆円)あり、FTSE-ALL Shareの時価総額全体の33%を占める規模。
2020年には、新型コロナウイルス・パンデミックの影響もあり、ESG課題が大きく顕在化したことで、エンゲージメント回数が2019年の8から2020年には11へと増加。対象企業となったのは、Aviva、バークレイズ、ライアンエアー・ホールディングス、ロイヤルメール、スナム、ピアソン、SSPグループ、Boohoo Group、Burford Capital、プレイテック。
エンゲージメント対象は、各社の取締役で、戦略の方向性、環境戦略、後継者、社会的インパクト、取締役会の実効性、資本アロケーション等がテーマとなった。同報告書では、各社へのエンゲージメントの詳細内容についても報告されている。
Investor Forumは、今回の報告書の中で、投資家と企業との対話の質は2020年に大きく向上したとしている。特に投資家が積極的に企業のバランシート改善に協力することで、パンデミックからの復興のための資本アロケーションが可能になるとの見方を示した。また、投資家にとっても、エンゲージメントでの感触が、投資意思決定においても重要となっているとの考えも示している。
今後については、11月に第26回気候変動枠組条約締約国グラスゴー会議(COP26)が開催されることもあり、Say on Climateの動きや、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドラインに基づく開示義務化にも賛同していく意思を表明した。
【参考】【国際】ESG議決権行使キャンペーン「Say on Climate」、ムーディーズとユニリーバが受入れ。気候変動株主提案の新風(2021年1月4日)
【参照ページ】2020: A WATERSHED YEAR FOR STEWARDSHIP
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