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【国際】ブラックロック、CO2多い業種にはスコープ3開示要求。実施しなければ取締役選任反対も

 資産運用世界大手米ブラックロックは2月17日、同社の投資方針を示す「投資スチューワードシップ」の一環として、気候変動に関する捕捉ドキュメントを公表。2021年からは投資先企業に対し、さらに踏み込んだアクションを要求していくことがわかった。

 同社の投資運用方針に関しては、投資方針を示した「投資スチュワードシップ」を毎年開示するとともに、毎年の方針に基づいた議決権行使方針「グローバル原則と市場レベルでの議決権行使ガイドライン」を発行。その内容を踏まえ、ラリー・フィンクCEOが、投資先企業のCEOに向けた公開書簡、通称フィンクレターを1月に送り、その年の株主総会への期待を伝えることが通例となっている。

【参考】【国際】ブラックロック、2021年のエンゲージメント重要テーマ発表。長期志向に向け3つ設定(2020年12月16日)
【参考】【国際】ブラックロック、2021年のフィンク・レターで気候変動と社会格差を強調。ESG投資のリターンに自信(2021年1月28日)

 今年のフィンク・レターでは、すでに数年前から気候変動問題を最重要テーマの一つと位置づけ、アクションを実施する姿勢を表明。しかし、必ずしも毎年の株主総会でアクティビストが提案する株主提案に賛成票を投じてはいないことから、方針にアクションが伴っていないという批判も享受してきた。

 今回発表したドキュメント「気候リスクと低炭素経済への転換」は、同社の「投資スチュワードシップ」を気候変動の観点で補足するために発行されたもの。姿勢を明確にすることで、同社としても方針の肉付けを行い、議決権行使の基準を明確にした形となっている。

 同ドキュメントは、投資先企業の取締役及び経営陣の評価において、7つのチェック項目を提示した。内容は、気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)の内容が大きく踏まえられている。

  • 省エネと再生可能エネルギー活用を含めた、気候変動の物理的リスクと移行リスクの考慮内容
  • 特定されたリスクと機会に対処するための戦略と資本アロケーション計画の策定内容
  • 気候変動による製品・サービスの潜在的な変化の評価内容
  • 現時点でからの野心的な二酸化炭素排出量削減目標の設定と2050年カーボンニュートラルと整合性有無の説明
  • 2℃シナリオでの戦略レジリエンスの評価と資産のストレステストの実施有無
  • 新たな投資機会、事業、製品、資本アクセスを活かした持続可能なソリューションの展開
  • 規制モニタリングの内容と、国際、国、地域レベルでの義務や潮流での政策議論への参加有無

 この中で、野心的な二酸化炭素排出量削減目標の設定については、スコープ1とスコープ2は全企業必須とした上で、二酸化炭素排出量の多い業種では、スコープ3の開示も要求。特に石炭、石油、ガスの化石燃料については、スコープ3の開示を強く要求した形。また削減レベルについては、科学的根拠に基づく削減目標イニシアチブ(SBTi)に言及した。

 また今回、二酸化炭素排出量の開示が不十分な企業や、低炭素経済に向けたビジネスモデル転換に関する説得力のある計画を示せない企業に対しては、株主総会で、気候変動問題を担当していると推定される取締役の選任決議に反対票を投ずる可能性があることも明言。気候変動担当の取締役が明確出ない場合は、取締役会議長が反対対象となる可能性もあると考えられる。

 さらに、気候リスクとエネルギー転換を求める株主提案については、賛成票を投ずる可能性もあらためて示した。発展途上国やアジアに関しては、「企業のコンテキストが異なることを認識している」と補足しつつも、二酸化炭素排出量をピークアウトさせ、ネット排出量ゼロに向かうことにコミットすることを求めた。

 低炭素経済への移行については、二酸化炭素排出量の多い業種から少ない業種への雇用の転換が不可欠となり、影響を受ける地域の衝撃を緩和していくことが必要との見方を示した。但し、化石燃料については、化石燃料関連産業での雇用減は、世界経済全体にとってのマイナスではないと明確にコメント。むしろ、再生可能エネルギーへの転換によって、大きな経済効果が得られると自信を見せた。そのためにも、影響を受ける労働者の新たなスキル開発や研修も含めた雇用対策にも力を注ぐべきとした。

【参照ページ】Climate risk and the transition to a low-carbon economy

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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