化学世界大手米3Mは2月16日、新たな長期環境目標として、2050年までのカーボンニュートラル達成や、水消費量削減、水質改善等を設定。今後20年間で、製造の改善、廃棄物削減、汚染物質管理プログラムの支援、水消費量削減、最新技術活用等に、10億米ドル(約1,050億円)の投資を行うと発表した。
2050年カーボンニュートラルに向けては、中間目標として、2030年までに二酸化炭素排出量を2019年比50%削減、2040年までに同80%削減を設定。二酸化炭素排出量削減のため顧客や政府等と協働する。製造工程では、ベストプラクティスを採用することで、各工程での二酸化炭素排出量を最小化する。
水消費量削減では、2030年までに製造工場での水消費量を2019年比25%削減する目標を設定。中間目標として、2022年までに同10%、2025年までに同20%削減する。水消費総量としては、年間約95億l削減を見込む。
また水質改善では、2023年末までに最新の浄水技術を導入し、2024年までには、水を利用する全工場等での完全稼働を目指す。同技術では、廃水を自然水よりも水質の良い状態にした上で、自然環境に水還元できる。同社は、2015年に、水ストレスの高い地域での全ての地域コミュニティとのエンゲージメントを2025年までに実施することを目標として設定したが、今回さらに全工場での水還元を開始する。
同社は、その他にも、半導体・エレクトロニクス、リサイクル・バイオ素材、電気自動車(EV)、ビルの省エネ、再生可能エネルギーへの移行、室内空気室の改善等を進めている。半導体・エレクトロニクスでは、ペーパーレス化に向け、より効率的な半導体製造を可能にし、電子機器の性能と寿命を改善。リサイクル・バイオ素材では、同社商品「スコッチテープ」「ポスト・イット」「スコッチ・ブライト」等で、使用済みリサイクル素材とバイオ素材を活用する。
電気自動車(EV)では、車体の軽量化を支援し、燃費や走行距離の改善。ビルの省エネ化では、断熱性の高い遮光フィルムで、冷暖房での電力利用を削減する。再生可能エネルギーでは、太陽光パネルの太陽光の吸収率を高めるフィルム、テープ、接着技術を提供。風力タービンのブレードの風化等からの保護や耐久性向上も行う。
さらに、室内空気質の改善では、空気清浄機と冷暖房ソリューション「Filtrete」を提供。ほこり、糸くず、ペットの皮屑、バクテリア等、空気中の粒子を吸収し、室内の汚染物質を削減する。
また同社は2月18日、工場等の施設に関し、新型コロナウイルス感染症の予防措置を徹底した、清潔さ・信頼性・コンプライアンス等の認証プログラム「3M Clean&Protect」も発表した。特に、飲食店、観光施設、イベント会場、オフィス、学校等での感染予防を証明し、利用者に安心感を与えることを目的としている。
同社は、米環境保護庁(EPA)が承認した消毒剤、洗浄工具、化学薬品ディスペンサー等、幅広い種類の洗浄・消毒液を提供。また、施設洗浄度のリアルタイム測定ツール「Clean-Trace」を提供し、洗浄度の変化をモニタリング可能にしており、安全性を担保する。
さらに、施設利用者の安全性を保つため、ソーシャルディスタンスを明示する床テープ等も提供。清掃員に対しては、適切に消毒を行うためのオンライントレーニングも提供する。
【参照ページ】3M to Invest $1 Billion to Achieve Carbon Neutrality, Reduce Water Use, and Improve Water Quality
【参考】3M launches New 3M™ Clean & Protect Certified Badge Program