持続可能な発展を目指すグローバル企業団体WBCSD(持続可能な開発のための世界経済人会議)は7月12日、環境サステナビリティの分野で急浮上しているコンセプト「ネイチャーポジティブ(Nature-Positive)」が企業に与える意味を解説したブログを発表した。気候変動と生物多様性・生態系を一体に考える動きが強まってきている。
「ネイチャーポジティブ」のコンセプトは、自発的に企業やNGO等が使い始めた用語だが、5月に有力NGOや国際機関等が共同論文「A Nature-Positive World: The Global Goal for Nature」を発表したことで、具体性が大きく向上した。
同論文では、「2020年以降、自然の損失をゼロ」「2030年にネット・ポジティブ」「2050年に完全回復」という3つの測定可能な目標を時間軸を設けて設定している。同論文を共同発表したのは、国際自然保護連合(IUCN)、WBCSD、世界資源研究所(WRI)、世界自然保護基金(WWF)、地球環境ファシリティ(GEF)、Capitals Coalition、ポツダム気候影響研究所、ザ・ネイチャー・コンサーバンシー(TNC)、コンサーベーション・インターナショナル(CI)、バードライフ・インターナショナル、Business for Nature等の各CEO。
(出所)Business for Nature
WBCSDは、バリューチェーン全体でネイチャーポジティブを企業が実現するための検討を早速開始している。7月には60人のステークホルダーを招集したダイアログを2回開催し、ネイチャーポジティブを構成する要素を幅広く俎上に乗せる議論を実施。8月の第3回のダイアログでは、内容を整理し、重要パーツを絞り込む作業を行う。最終的には、自然ポジティブの構成要素をシンプルに理解できる明確なステップに変換し、ロードマップの基盤を創る。
ダイアログでは、すでに活動が始まっているTNFDやSBTNの動きも捕捉。今後の企業の大きな転換としては、「害の少ないことをする」というアプローチを超えて、自然の損失を食い止め、奪った以上のものを戻す方向に進む必要があると指摘。バリューチェーン全体で、自然破壊を防ぐ手法のヒエラルキーを適用していく必要があるとした。具体的なヒエラルキーは、「回避」「削減」「回復」「再生」の順。
【参考】【国際】自然関連財務情報開示タスクフォース(TNFD)正式発足。ガイドライン策定へ。G7歓迎表明(2021年6月6日)
【参考】【国際】英国国教会、Science Based Targets Networkに加盟。企業の自然資本目標設定ガイドライン(2021年4月12日)
【参照ページ】Advancing business understanding of “nature positive”
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