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【国際】海運業界、2030年のSZEF比率5%目標達成に向け毎年400億ドル必要。ポセイドン原則も義務化で支援

 世界経済フォーラム(WEF)と国際環境NGOのEnergy Transitions Commission(ETC)が運営する「Mission Possible Platform(ミッション・ポッシブル・プラットフォーム)」の下部組織Getting to Zero Shipping Coalitionは9月21日、2030年までに国際海運での量産可能なゼロエミッション燃料(SZEF)比率を5%にまで高める目標について、進捗状況と見通しを分析したレポートを発表。目標達成に向け「部分的に順調」と結論づけた。

【参考】【国際】世界経済フォーラムとETC、重工業セクターの2050年までのCO2ゼロで8つのイニシアチブ発足(2019年9月29日)

 Getting to Zero Shipping Coalitionは2021年3月、2050年までの海運でのカーボンニュートラル達成に必要な燃料転換のロードマップを発表。国際海運では、2030年までにSZEFを5%、2040年までに27%、2046年までに96%、2050年までに100%にする目標を設定。同様に国内海運でも2030年までに15%という目標を掲げた。背景には、英海運コンサルティングUMASが2019年に発表した分析が基になっている。それ以降、2021年3月の目標設定でも、今回の進捗発表でもUMASが実働組織としての役割を担っている。Getting to Zero Shipping Coalitionには、海運関連企業200社以上が現在加盟している。また世界海事フォーラムも連携している。

 パリ協定と整合性のある目標設定では、国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局のハイレベル気候チャンピオンが率いるマラケシュ・パートナーシップ(MPGCA)が、非国家主体の長期目標水準を定めるプロジェクト「気候アクション・パスウェイ」を展開。2021年6月に交通・輸送部門の最新パスウェイが提示され、その中で海運のロードマップについても、2030年までに国際海運でSZEFを5%、国内海運で15%の目標が踏襲されていた。

 Getting to Zero Shipping Coalitionは2021年10月、同目標を達成するため、技術と供給、需要、資金調達、政策、市民社会の5つの分野でアクションプランを設定。同時に、2030年までにSZEFを5%、2045年までに100%の目標を最終確定させた。特に、国際海運での2030年SZEF比率5%目標は「2030ブレークスルー・ターゲット」という名称で呼ばれている。

 それ以降、Getting to Zero Shipping Coalitionは、政府を含めた行動変革を促すため、各ステークホルダーが採るべき詳細なマスタープランを作成。同じ将来像に向かって関係者の目線を合わせアクションを加速させている。

 今回の報告書は、「2030ブレークスルー・ターゲット」の進捗状況を分析したもの。UMASとハイレベル気候チャンピオンが作成し、世界海事フォーラムの年次サミットの前日に同フォーラムの会場で発表された。分析結果は「部分的に順調」というもの。具体的には、企業、政府、国際海事機関(IMO)の努力により、パイロットプロジェクトや実証プロジェクトが200以上立ち上がっている点は順調とした。しかし、パイロットからSZEFの量産、投資、インフラ整備への移行が遅れているという。

 UMASは今回の報告書中で、2030年までにSZEFの量産とバンカリング施設への投資額が年間で400億米ドル必要と予測。また政策面では、IMOの2023年の会合で、カーボンプライシングの価格設定で合意することが重要とした。

 これを受け、世界海事フォーラムでは、銀行30社と保険会社17社が加盟しているポセイドン原則が9月22日、1.5℃整合性のある投融資・保険の提供状況を報告する制度の樹立を発表した。

 具体的な内容は、2つのロードマップに関して、投融資・保険の提供状況をチェックするというもの。1つ目のロードマップは、IMOが定める2050年までの二酸化炭素排出量50%削減。2つ目のロードマップは、パリ協定が定める2050年カーボンニュートラル、2100年1.5℃上昇未満。今後ポセイドン原則の署名期間には、報告が課される。

【参考】【国際】海運ファイナンスのポセイドン原則、署名金融機関が20に増加。3社はすでにIMO整合性実現(2020年12月22日) 

【参照ページ】Shipping taking promising first steps towards 2030 breakthrough goals on scalable zero emission fuels
【参照ページ】Five percent zero emission fuels by 2030 needed for Paris-aligned shipping decarbonization
【参照ページ】Getting to 5%: An action plan for delivering zero-emission fuels in shipping
【参照ページ】Leading shipping banks and marine insurers pave the way for 1.5-aligned emissions benchmarking
【参照ページ】Climate Action Pathways
【参照ページ】Trasport

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株式会社ニューラル サステナビリティ研究所

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