英年金基金団体Pensions and Lifetime Savings Association(PLSA)は2月20日、2020年版のスチュワードシップ・ガイド・議決権行使ガイドラインを公表した。年金基金は、投資先企業の取締役が気候変動リスク管理に責任を持つよう要求していくべきとした。
英国では2019年10月、中規模以上の企業年金基金に対し、気候変動を含むESGに関する内容の記載、及び議決権行使やエンゲージメント等のスチュワードシップに関する内容を記載した「投資原則声明(SIP)」の策定が義務化。今回発表のガイドラインでは、年金基金に対し、財務に重大な影響のあるESG要因をどのように投資判断に組み込むかを開示することを義務付けた。
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PLSAは今回、気候変動はセクターによって影響の重みづけは異なるものの、ほぼすべての企業が戦略やビジネスモデルへの影響を評価する必要があると指摘。2020年版ガイダンスでは、役員報酬、監査、会社のリーダーシップ、配当政策等に関する議決権行使の推奨事項もまとめた。また、年金基金のESG重視姿勢や株主総会における気候変動関連の提案が増加していることを反映し、気候変動や持続可能性に関するセクションも用意された。
同ガイドでは、株主提案があるにも関わらず、企業が気候変動に関するリスク評価や対応を怠った場合や、大企業が気候関連財務情報開示タスクフォース(TCFD)ガイドライン、CDP、SASBスタンダード等と整合性ある開示に取り組まない場合、二酸化炭素排出量が多い事業にも関わらず科学的根拠に基づく削減目標の開示に十分に取り組まない場合、気候変動緩和を妨げるロビー活動に関する投資家の懸念に耳を傾けない場合、可決有無にかかわらず気候変動関連の株主提案に対応していない場合等、取締役再任への反対を検討すべきとした。
取締役に説明責任を問うことは、株主議決権行使の最も効果的な利用法の一つ。しかし、運用会社は議決権行使に消極的であり、報酬委員会議長や取締役会議長に対し、行使されることは、滅多にない。年金基金は受託者責任のもと、運用会社と協働し、正当な投資家からの訴えに応じない企業には、明確な対応を表明することも辞さないべきだとした。
【参照ページ】HOLD COMPANIES TO ACCOUNT ON CLIMATE CHANGE, SAY NEW VOTING GUIDELINES
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